『夜の大捜査線』
1967年、米。シドニー・ポワチエ、ロッド・スタイガー他。ウィキペディアの紹介文。
アメリカ南部の小さな駅に夜行列車からひとりの黒人(シドニー・ポワチエ)が降り立った。町では折しも有力者の殺人事件が発生。パトカーの警官がうだるような熱帯夜のなかを巡回していた。人種偏見の強い地方であるために、駅の待合室にいた「よそ者」の黒人は、巡回中の警官によって容疑者として連行され、署長(ロッド・スタイガー)の前に突き出されてしまう。しかし、あからさまな侮蔑と嫌悪にさらされているこの黒人の男は、フィラデルフィア警察の殺人課、敏腕刑事ヴァージル・ティッブスだった。
滅多にない殺人事件に手を焼く田舎町の警察は、地元市長からの圧力もあって、屈辱感を覚えつつも都会のベテラン刑事ティッブスに捜査協力を依頼する。白人署長はもともと頑固な差別主義であったが、次第にティッブスの刑事としての能力に一目置くようになる。ただし、人種偏見が根強い町であるために、捜査には困難が常につきまとう。
事件はようやく解決し、ティッブスと署長との間には奇妙な友情のようなものが生まれていた。ティッブスが町を去る日、駅には彼を晴れやかな表情で見送る署長の姿があった。(引用終わり)
「夜の大捜査線」という邦題から、夜の大都会を舞台に多数の警察官とパトカーが登場する派手なアクションものを想像していたが、全く違っていた。舞台はミシシッピの片田舎で、捜査に当たるのはティッブスと白人署長、それにサム巡査の3人だけ。殺人事件そのものも、犯人、動機、殺害方法、いずれをとっても月並みな、まことにショボい事件としか言いようがない。
しかし、この映画の価値は殺人事件の捜査そのものより、当時の黒人差別の現実、それを跳ね返すティッブスの名推理、次第に彼の真価を認めざるを得なくなる署長の心理などが、説明は最小限ながら実に巧みに描かれているところにあるだろう。
何と言ってもポワチエのクールな表情がハードボイルトそのものであるし、クインシー・ジョーンズの音楽がそれにぴったり合う。ただ、それ以上に白人署長を演じたロッド・スタイガーが大変いい味を出していて、台詞なしでも署長の内面心理が十分に伝わる名演技である。
11月15日 ジョグ10キロ
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