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2017/11/27

『炭水化物が人類を滅ぼす【最終解答編】』

9784334043179夏井睦著。版元の紹介文。

ベストセラー『炭水化物が人類を滅ぼす』の刊行から4年。この間、糖質制限を取り巻く社会の状況は大きく変化した。批判的な記事は数を減らし、代わってスーパーや外食チェーンには糖質オフ商品が続々登場。今や糖質制限市場ともいうべき巨大マーケットが形成されている。それは何より消費者の側が、健康への効果を体感しているからだろう。続編となる本書では、前作で未解決だったいくつかの問題を解決し、実践者からの大規模アンケートの結果を公開。さらに糖質セイゲニストの立場から、全生命史、全人類史を読み直すという新たな試みに挑む。(以下略、引用終わり)

基本的に前著の記述を敷衍したり、新たな考察を追加した内容である。糖質制限の正しさを一層確信することが出来たが、驚くような発見はそれほどなかった。それでも、

インスリン分泌を促す糖質が肥満の唯一の原因だ。逆に、脂肪を摂取してもインスリン分泌は起こらないので、肥満にはならない。肥満の原因はあくまでも、摂取すると必ずインスリンを分泌させる糖質だけなのだ。(101頁)

食物は活動のためのエネルギー源(カロリー)でもあるが、体を作る部品の供給源でもあったのだ。これらが明らかにされたのは20世紀後半であり、(「食物=カロリー」仮説が生まれた)19世紀の科学者には知る由もないことだった。(中略)その「半分しか正しくない19世紀の仮説」はいまだに世界中に広く信じられているし、それどころか、栄養学と医学の基礎理論となり、社会の常識となっていく。(107-108頁)

といった記述には、改めて目からウロコが落ちた。今さらいちいち訂正する気はないが、当ブログでも上記のような誤解に基づいて書いてしまった箇所も多い。

ただ、「ヒトはなぜ長く走り続けられるのか」という問題に対して、「人類は長距離走を武器にした狩猟者だった」という説はランニングブームの影響によるとして退けているけれども、では本当の理由は何かについては記述がない。また、「ヒトはなぜ汗をかくのか」についても、一般的な体温調節説を退け、性交時の快感を増すためという、やや突飛な説明がなされている。

このあたりの説明はやや説得力に欠ける。やはり、ヒトは他の動物には出来ない長距離走が可能となるように進化し、そのために不可欠な冷却装置として発汗システムが生まれたと考えるのが自然だと思う。

11月25、27日 ジョグ10キロ

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