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2017/08/14

『リリイ・シュシュのすべて』

Chouchou2001年、ロックウェルアイズ。岩井俊二監督。allcinema の紹介文。

中学生になった蓮見雄一は同じクラスの優等生・星野修介と仲良くなる。夏休み、2人はほかの仲間たちと西表島へ旅行に行く。そこで星野は2度命の危険にさらされる。そして逆に、島で知り合ったばかりのバックパッカーのあっけない死を目の当たりにする。旅行から戻った星野は変質し、番長を倒し自らその座に収まり、蓮見はいじめの対象になっていく……。学校での星野の凶悪さは常軌を逸し、その仕打ちに傷つく蓮見は、唯一の慰めとなっていたカリスマ的女性アーティスト“リリイ・シュシュ”のファンサイトを立ち上げ、そこで痛々しい心情を吐露していくのだったが……。(引用終わり)

この監督の作品を観るのはこれで6本目になるが、どれも独特の世界観を持っていて、「同工異曲」の対極を行くかのようである。本作では現代の中学生の実像を、残酷なまでにリアルに描き出している。

万引き、いじめ、暴力、援助交際、レイプ、自殺…。ドビュッシーの美しいピアノ曲をバックに、陰惨なシーンが続き、正直言って、観終えたあとは何とも言えない重さが胸に残る。唯一救いと思われたリリイ・シュシュの音楽すら、雄一にとっての存在意義を否定されかねない、大変皮肉な結末が待っている。

西表島旅行の詳細や合唱コンクールの顛末など、ディテールに凝り過ぎているきらいもあるが、それにもかかわらず、観る者の心に決して消えない刻印を残す作品である。監督自身が「遺作を選べたらこれにしたい」というのは多少大袈裟であるとしても。

8月12日 LSD20キロ
8月14日 ジョグ10キロ

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