リパッティのショパン・ピアノ協奏曲第1番
先日、リパッティが弾いたグリークとシューマンのピアノ協奏曲に改めて感銘を受けたと書いたが、その後、ショパンの協奏曲第1番のCDを入手、これまた素晴らしい演奏に驚いている。1950年2月7日の録音というから、彼が亡くなる約10か月前にあたるが、そんなことは微塵も感じさせない。
モノラルで、しかも演奏会のライヴ録音ということで、フォルティシモの迫力はさすがに伝わらないが、ピアノからピアニシモにかけての千変万化のニュアンスは十分聴きとることが出来る。とりわけ第2楽章のこれほど美しい演奏は初めて聴いた気がする。
ところで、このCDは Archipel という聴き慣れないドイツのレーベルである。実は、以前イギリスEMIから同曲のLPが発売されていたが、これが実はチェルニー=ステファンスカという女流ピアニストの演奏だったことが後に判明。その後、リパッティ本人の演奏によるディスクがEMIから再発売されたものの、音源に不備があり、欠落部分に他のピアニストの演奏を嵌め込んだという。
このCDは別の音源で欠落部分を補って作られたものだそうで、当時の録音としては十分鑑賞に堪える。共演のオットー・アッカーマンという指揮者は名前も知らなかったが、リパッティの天才的なフレージングによく合わせている。ドイツ人のような名前だが、ルーマニアの出身らしく、リパッティとの相性も良かったのだろう。チューリヒ・トーンハレ管弦楽団もなかなかの演奏水準を示している。
カップリング曲はグリュミオー(Vn)、プリムローズ(Va)と組んだモーツァルトの協奏交響曲K.364(オケはケルン放送響)。アッカーマンのCDという位置づけのはずだが、どういう訳かジャケット写真はグリュミオーである。
8月18、20日 ジョグ10キロ
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