『マラソンマン』
マラソン好きの大学生のベイブ(ダスティン・ホフマン)は、兄ドグ(ロイ・シャイダー)がナチ戦犯のゼル(ローレンス・オリヴィエ)の運び屋で、しかもゼルを裏切って殺されたことから、ゼルの拷問を受けることになる。平凡な若者が犯罪に巻き込まれていく恐怖を描いた、『真夜中のカーボーイ』などで知られるジョン・シュレシンジャー監督の意欲的サスペンス映画。(引用終わり)
主人公のベイブがセントラルパークの貯水池の周囲を走るシーンが登場し、彼の部屋には尊敬するアベベ・ビキラの写真が飾られているものの、紹介文のとおりこれはマラソンをテーマとした映画ではない。
ストーリーはかなり複雑で、結局主人公を取り巻くほとんどの人物が敵だったということになるが、最後の浄水場でのベイブとゼルの対決シーンに向けて、じわじわとサスペンスが盛り上がっていく。
アメリカ社会、特に映画業界の反ナチ感情は根強いものがあるようで、それは何もこの作品だけに限らないが、元歯科医という設定のゼルが歯の治療器具でベイブを拷問するシーンは、ナチスドイツの残虐さを象徴するかのようだ。名優ローレンス・オリヴィエがよく承知したものだと思うが、さすがに鬼気迫る名演技だ。
ところで、その役名のゼルというのは、英語字幕では Szell となっていて、かのハンガリー出身の名指揮者ジョージ・セルと同じ姓である。しかし、ジョージ・セルはナチスの脅威を恐れてイギリスに移住、アメリカ演奏旅行中に第二次大戦が勃発したため、そのままアメリカに留まったというから、おそらくユダヤ系だと思われる。同じ名字でナチ残党というのは、一体どうなっているのだろう?
7月4、6日 ジョグ10キロ
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