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2017/07/21

『ふたりのベロニカ』

Veronique_21991年、ポーランド、フランス。クシシュトフ・キェシロフスキー監督。アマゾンの紹介文。

ポーランドとフランスで同時代を生きる二人のベロニカ。一人はポーランドで、音楽の舞台に合格が決まり、初めての舞台で胸の痛み感じ、突然の死を迎えてしまう。もう一人はパリで子供たちに音楽を教える先生で、ある日、人形劇の人形使いのアレクサンドルに出会い恋をする。もう一人のベロニカをそばに感じる不思議な出来事が起こる中、一本のテープがベロニカの元に送られ、その録音された音を頼りにカフェに行くとそこにはアレクサンドルがいた・・・。(引用終わり)

この監督の作品は『デカローグ』『トリコロール三部作』以来である。大まかなストーリーは確かにこのとおりなのだが、これだけでは半分も分からず、かと言って実際に最後まで観ても、さらに謎は深まるばかりという不思議な作品だ。

「この地球上にもう一人の自分がいる」というドッペルゲンガー現象は、古くから伝説や迷信の対象となり、多くの場合、死や災難の前兆とされるそうだ。実際この映画でも、ポーランドのベロニカは、旅行で来ていたパリのベロニクを偶然目撃した直後、ステージ上で急死してしまう。では、後にその事実を知ったベロニクには、果たしてどんな人生が待っているのか。

ベロニクは人形遣いのアレクサンドルと恋仲となるが、彼から人形劇で蝶に化身する人形が、実は2体あったことを知らされる。それによって彼女は何を感じたのだろう? また、彼女が立木にそっと手を当てるラストシーンは何を物語るのか? いくつか思わせぶりな手掛かりはあるものの、あくまで各人が想像するしかない。

しかし、そういった難解さを別にすれば、映像芸術作品として極上の出来を示している。全体に落ち着いた色合いの映像に、疑似バロック調の素朴な音楽(明示されていないが、監督お得意のブーデンマイヤー作曲と思われる)、そして何より両方のベロニカを二役(ポーランド語は吹き替え)で演じたイレーヌ・ジャコブの美しさは特筆すべきだ。

7月20日 ジョグ10キロ

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