『シン・ゴジラ』
2016年、東宝。長谷川博己、竹野内豊、石原さとみほか。KINENOTE の紹介文。
現代の日本。東京湾に突如として巨大不明生物が出現。政府首脳、官僚を中心に緊急対策会議が招集されるが、予測不能な事態に対応が追いつかない。やがて、上陸した巨大不明生物“ゴジラ”に対し、自衛隊に防衛出動命令が下る。一方、世界各国もこの未曾有の事態と日本の対応を注視、米国は大統領特使を日本に派遣し、対“ゴジラ”戦の主導権を握ろうとするのだが……。(引用終わり)
公式サイトにもある本作のキャッチコピーは「現実(ニッポン)対虚構(ゴジラ)。」である。まさにそのとおりで、ゴジラという想像上の巨大不明生物が出現したら、現実の日本という国はどう対応するのか。それを徹底的にリアルに描いた映画である。
同じようなシミュレーションものでは、小松左京の『首都消失』というSF小説を読んだことがある。そこでも首都が突然謎の雲に遮られてしまった時の政府の対応が、異常なまでの詳細さで記述されていたが、本作はそれをさらに上回るスケール感と現実味がある。
実際、上陸したゴジラを「駆除」するための作戦は、全て現実的なものばかりで、何とか爆弾だの光線だのといった「秘密兵器」は一切登場しない。その意味で、従来のいわゆる「怪獣映画」とは完全に一線を画していて、劇中でも「怪獣」という言葉は一度も使われていない。
また、ゴジラのエネルギー源が体内に内蔵された原子炉状器官である点など、2011年の福島原発事故に際しての東電、政府、自衛隊などの必死の対応を想起させる。その点、大変今日的な内容をもった『ゴジラ』第29作であるが、一方で、オープニングの東宝マークの復刻や、伊福部昭の音楽の再使用など、1954年の第1作へのリスペクトも随所に感じられる。
凍結したゴジラの尻尾の先に見えるものの正体は何か。諸説あるようだが、おそらく製作されるであろう続篇の中で、その謎は明かされることになるのだろう。
7月14日 ジョグ10キロ
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