『自転車泥棒』
1948年、伊。ヴィットリオ・デ・シーカ監督。アマゾンの紹介文。
ローマの職業紹介所に並ぶ長い列。失業者アントニオはポスター貼りの仕事にありついた。ただし自分の自転車でという条件。話を聞いた妻はベッド・カバーをはぎ取って質屋へ行き、交換で自転車を受け出す。一家に希望がさしこんだのもつかの間、ポスターを貼っている間に虎の子の自転車を乗り逃げされた。泥棒は雑踏に消えて呆然と路上に立ちつくす。警察は相手にしてくれない。失望といらだち、6歳になる息子と自転車をさがし歩く。(引用終わり)
イタリア・ネオレアリズモの傑作とされる名画。主役の父子はともに演技経験のない素人を起用し、ほぼ全篇ローマ市内でロケ撮影されたこともあり、ドキュメンタリー作品を観ているような気分になる。
ストーリーは極めて単純で、盗られた自転車を探し求めて果たせず、その挙句他人の自転車を盗もうとして取り押さえられるまでの一部始終なのだが、それが残酷なほど丹念に、リアルに描かれている。大戦後の貧困に喘ぐイタリア社会の現実を、丸ごと切り出して観客の前に示したような作品だ。
とりわけ、息子ブルーノの表情や動作が本当に自然で、素人の演技とはとても思えない。茫然自失の態の父親の手を、彼がそっと握り締めるラストシーンは大変切なく、胸に込み上げてくる。
5月5、7日 ジョグ10キロ
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