『あなたの本当の人生は』
『ピエタ』の大島真寿美著。版元の紹介文。
新人作家の國崎真実は、担当編集者・鏡味のすすめで、敬愛するファンタジー作家・森和木ホリーに弟子入り――という名の住み込みお手伝いとなる。ホリー先生の広大で風変わりなお屋敷では、秘書の宇城圭子が日常を取り仕切り、しょっぱなホリー先生は、真実のことを自身の大ベストセラー小説『錦船』シリーズに出てくる両性具有の黒猫〈チャーチル〉と呼ぶことを勝手に決めつける。編集者の鏡味も何を考えているのか分からず、秘書の宇城は何も教えてくれない。何につけても戸惑い、さらにホリー先生が実は何も書けなくなっているという事実を知った真実は屋敷を飛び出してしまう。(以下略。引用終わり)
18世紀ヴェネツィアの『ピエタ』と、舞台設定は全く異なるものの、主要登場人物が3人の女性で、それぞれの生い立ちから現在の境遇、さらには今後の生き方まで俯瞰した、大きな物語が展開していくところは似通っている。
『ピエタ』では音楽を題材にしていたのに対し、本作は小説そのものがテーマである。物語を書くことの「狂おしさ」とも言うべき本質が、登場人物によって生々しく語られている。一方、真実の作るコロッケによって主な登場人物が生まれ変わるかのような後半では、料理もまたこの作品の重要なパーツとなっている。
最後の方はやや話が甘すぎると感じる部分もあったが、爽やかな読後感は『ピエタ』に勝るとも劣らず、それがこの作家の持ち味なのだろう。舞台はどこかの大きな屋敷と、海辺の居酒屋ぐらいなので、映画やドラマにするのも良いと思う。女優陣の顔ぶれも、何となく想像できる。(笑)
1月25日 LSD40キロ
1月27日 ジョグ10キロ
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