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2016/12/22

『リップヴァンウィンクルの花嫁』

Rvwbride2016年、東映配給。岩井俊二監督。黒木華、綾野剛、Cocco 他。公式サイトの紹介文。

2016年、東京の片隅で、それなりに、普通に生きていた私。しかし、その“普通”であることは、こんなにも残酷に、そしてあっさりと崩壊してしまった…。
結婚相手でさえ、ネットの出会い系サイトで探すことができ、家族や友人などの人間関係さえサービスとして購入できるこの時代、物事をあまり考えず、感情を波立たせず、というように「人並み」に生きていたひとりの女性が、いろいろな出会いと経験を通して、生まれ変わっていく、という現代版「女の一生」。(中略)
女の子が日常の中で「ありえなそうだけど、現実にはそんなこともある」事件や不条理に出会いながら成長していくという物語は、岩井俊二監督が非常に得意とする映像テーマ。本作はその通奏低音に、格差やおカネの問題、自立すること、恋愛の多様なあり方など、現代社会が今、そして、これから抱え続けて行くだろう問題が響き続けている。(引用終わり)

同サイトには映画監督や評論家の賛辞が多数掲載されていて、クロウト筋にも評価の高い作品であるようだ。実際、先の展開が全く読めず、ぞわぞわするサスペンスを絶えず感じさせながら、最後まで観客を惹きつけて止まない。美しい映像にクラシック音楽がよく合い、場面場面のテンポ感も良く、180分もの長尺を全く感じさせない。

インターネット、SNSによって人間同士の繋がりが大きく変容した現代社会の諸相を織り込みつつも、その根底に響いているのは、恋愛や友情などのリアルな人間関係、死への恐怖、そして親子の絆といった不変のテーマである。

何となく人並みに生きてきた、少し頼りなげな主人公を黒木華が好演。いかにも怪しげだけれど、意外に頼れる何でも屋を演じた綾野剛もさすがだ。さらに、Cocco が終盤の長いモノローグを見事に聞かせ、最後はりりィがまさかの演技で泣かせてくれる。今年観た中ではベスト作品だ。

12月20、21日 ジョグ10キロ

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