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2016/08/12

『プール』

Pool_32009年。大森美香監督。小林聡美、加瀬亮、伽奈、もたいまさこ他。公式サイトの紹介文。

4年前、祖母と娘さよのもとを離れ、チェンマイの郊外にあるゲストハウスで働き始めた母・京子(小林聡美)。大学の卒業を目前に控えた今、さよ(伽奈)はそんな母を訪ねて、一人、チェンマイ国際空港に降り立つ。
迎えに現れたのは母ではなく、母の仕事を手伝う市尾(加瀬亮)だった。小さなプールがあるゲストハウスには、ビー(シッテイチャイ・コンピラ)という名前のタイ人の子供と、不思議な空気感を持つオーナーの菊子(もたいまさこ)がいた。さよは久々に会った母が、初めて会う人たちと楽しそうに暮らしている姿をどうしても素直に受け入れることができず、戸惑いを感じていた。
行方不明の母に会いたいと思っているビー。母親探しを手伝うがなかなかうまくいかず、優しさが裏目に出てしまう市尾。余命宣告を受けている菊子。ひとりひとりの中にある現実、そしてそれを自然に受け入れつつ、相手を思いやりながら生きている人たち。彼らとの出会いにより、だんだんとさよは、心が開いていくのを感じ始める。(以下略、引用終わり)

内容といい、出ている俳優陣といい、以前観た『めがね』と同じようなテイストの作品である。南の国の鄙びたリゾート。ゆったりと流れる時間。鳥のさえずり以外何も聞こえない静けさ。その雰囲気に浸っていると、夏の暑さを忘れさせてくれ、もうストーリーなどどうでもいいようにさえ思われてくる。

実際、さよがタイに来て、1週間ほど滞在して帰っていくというだけのお話で、大きな事件もなければ、母と娘の対立も表立ってはない。さよの心境の微妙な変化がただ淡々と、間接的に描かれているだけで、それで何かを訴えようとしているとも思えない。

強いて言えば、タイに着いたばかりのさよが、車中で市尾と菊子に「私どう見えますか?」と尋ねるシーンがある。一人で寂しそうとか、気張ってる風に見えないか、さよは気にしていたのだが、二人はそんなことはないと答える。それがなぜか「どうしてそんなことが気になるのか」と聞こえるのだ。

しかし、それもサラっと流されるだけで、価値観の押しつけなど全くない。観ている人の心が、たとえひと時でも穏やかになれば、それで制作意図は果たせたのではないかとすら思えてくる。

8月10、12日 ジョグ10キロ

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