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2016/07/25

『八月の鯨』

Whales1987年米。allcinema の紹介文。

リビーとセーラの姉妹は、長い人生のほとんどを一緒に過ごしてきた。そんな姉妹は毎年夏の間、アメリカ・メイン州の小さな島にあるセーラの別荘に滞在していた。そこの入江には、8月になると鯨がやって来る。少女の頃、よくその鯨を見に駆けていったものだが、二人ともそれは遠い昔のこととなってしまった……。(引用終わり)

90歳のリリアン・ギッシュが妹、79歳のベティ・デイヴィスが姉を演じているが、年齢の逆転など感じさせない名演技である。というか、もう年齢など超越しているのだろう。

老姉妹の日常を淡々と描くだけで、出来事らしきものと言えば、ロシア亡命貴族のマラノフが自分が釣った魚を持って来て、それを姉妹と一緒に食べるというぐらいのものだ。ただ、次第に気難しくなっている姉が、そんな魚は食べたくないといって駄々をこねるといった、小さな波風の描き方が実にうまい。随所に挿入されるアメリカ北東海岸の美しい風景にも心が癒される。

人生の黄昏をどう過ごすのか。気持ちの張りをどうやって維持するのか。そうしたことをしみじみと考えさせてくれる。海が見える窓を作ることに「新しい物を作るには年寄りすぎるわ」といって反対していた姉が、ついにそれに賛成するところでこの作品は終わっている。さて、あなたの心の窓は開いているだろうか? あなたにとっての「八月の鯨」とは何だろうか? そう問いかけてくるような結末だ。

ひとつだけ些細な指摘を。マラノフが思い出話をするところで、「セントピータースバーグ」という地名を述べているが、字幕もそのままでは分かりにくい。日本では「サンクトペテルブルク」の方が通りが良いだろう。

7月24日 LSD25キロ

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