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2016/06/21

『2001年宇宙の旅』

2001_21968年、英米。Yahoo!映画の紹介文。

アーサー・C・クラークの原作を基に、S・キューブリックが映像化したSF映画の金字塔。人類の夜明けから月面そして木星への旅を通し、謎の黒石板“モノリス”と知的生命体の接触を、クラシックをBGMに色褪せることのない壮観かつ哲学的な映像で描いていく。(引用終わり)

死ぬまでに一度は観ておくべき映画シリーズ。言わずと知れた名作中の名作である。モノリスの正体や、ボーマンが行き着いた白い部屋の意味、赤ん坊が地球を眺めるラストシーンなど、最後までほとんど謎だらけなのに、それに対する説明が一切ない難解な映画というイメージが強く、これまで敬遠していた。

そこで今回、ハヤカワ文庫の小説版も併せて借り、ほぼ同時並行で鑑賞してみた。文庫本の解説によれば、映画の脚本そのものも小説と同時並行だったらしい。おかげで、コンピューターHAL9000が反乱を起こした理由や、なぜ地球上と同じような白い部屋が用意されていたか、またモノリスの形状の根拠などについては、合理的な説明によって理解が出来た。

それにもかかわらず、モノリスの正体や、最後の場面の意味については、何となく分かったという程度でしかない。キューブリック監督は、この映画の核心は「神」であると語ったそうだが、その具象化がモノリスなのかどうかは不明だ。しかし、むしろ肝心の部分についての説明がなく、様々な解釈を生んでいることこそが、この映画の傑作たる所以なのかもしれない。

そうした穿鑿はともかくとして、これが1968年、即ちあの『スター・ウォーズ』第1作が封切られる9年前、もちろんCGなどなかった時代に作られたのが信じられないほど、クオリティの高い映像に驚かされる。無重力空間の忠実な表現など、科学的な正確さの点でも他に例を見ない。

そして、何より音楽の使い方である。この映画で使われなければ、リヒャルト・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」が今ほど有名になることはなかっただろう。この曲をバックに誕生した人類最初の道具である動物の骨が、放り上げられると瞬時にして宇宙船に変わり、快適な宇宙の旅を象徴する音楽として、同姓シュトラウス(ヨハン2世)の「美しく青きドナウ」が流れる。実に見事というしかない。

6月19、21日 ジョグ10キロ

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