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2016/06/30

『素晴らしき哉、人生!』

Wonderful1946年米。フランク・キャプラ監督。ジェームズ・スチュアート他。アマゾンの解説文。

世界旅行という長年の夢をあきらめて、父の営む良心的な住宅ローン会社を継いだジョージ(ジェームズ・スチュワート)は、ある陰謀で会社が窮地に追い込まれ、絶望の末に自殺しようとする。そこに現れた2級天使のクラレンスは、「ジョージがこの世にいなかったら」という架空の世界に連れていく。自分には存在価値がないと思いつめていたジョージだったが、クラレンスの計らいを通じて、命の尊さ、家族の大切さ、そして自分がいかに人々に幸福を与えてきたかを知る……。アメリカで映画を学ぶ学生にとって本作は永遠のバイブルであり、クリスマスになると毎年のようにテレビ放送されている。観ずに死ねない、観たら死ねない人生の応援歌!(引用終わり)

死ぬまでに一度は観るべき映画シリーズ。紹介文の最後のコピーが秀逸だ。まさにそのとおりの名作だと思う。主人公の善意、優しさが最後に報われる心温まるエンディングに、つらくても生きていこうという勇気を与えられる。これが第2次世界大戦終結の翌年に制作されたというのも大変意義深い。

ところで、「2級天使」とはまだ翼をもらえていない天使のことで、クラレンスは「天使」というイメージには程遠い中年男だが、200年間も2級天使に甘んじている。映画の冒頭で先輩天使(?)から、地上で今まさに自殺しようとしている男を思い止まらせることが出来たら翼を与えようと言われる。

「自分なんて生まれなければ良かった」と思い詰めていたジョージは、「もし自分がこの世にいなかったら」という架空の、そしてかなり悲惨な世界を見せられることで、自らの存在意義を再認識する。これは一種のパラレルワールドと言えるかもしれない。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でも登場したこの手法が、こんな昔の映画に使われていたとは驚きだ。

6月29日 LSD20キロ
月間走行 200キロ

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2016/06/27

スキレットな日々

料理はほとんどしない。朝食に以前はスクランブルエッグ、現在はオムレツを下手なりに作るほかは、湯豆腐、空豆や枝豆の塩茹で(そういうのは料理と言わないか・笑)ぐらい、あとは薬味の葱を刻む程度だ。

オムレツは意外に難しく、特に一人用に玉子1個で作っているので火加減が難しい。フライパンが大きくて卵液が広がりすぎるせいだと分かり、ネット通販でごく小さなフライパンを入手した。分厚い鋳鉄製で、柄も本体と一体の鉄製である。「スキレット」というらしく、検索するとちょっとしたブームになっているようだ。

その後、オムレツは毎日少しずつ改善され、食感的にはほぼ満足できるレベルに達した。あとは見た目も綺麗に仕上がれば良いのだが、スキレットの真ん中辺りが少し焦げ付いて「返し」がうまく出来ない。もっと使い込んで油が染み込んでくれば、「トントン」が出来るかもしれない。

ただ、オムレツ専用ではもったいない。某レシピサイトで検索してみたら、いろんなメニューがある。とりあえず、一番簡単そうな「居酒屋風♪ポテトのチーズ焼き」なるものを作ってみた。たぶん人生初のジャガイモの皮むきに悪戦苦闘したが、何とかサマになっているのではないか。

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お味の方もまずまずだった。何より、作ったものをそのまま食卓に運べて、冷めにくいのがいい。これからもぼちぼちとレパートリーを増やしていこう。

6月26、27日 ジョグ10キロ

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2016/06/24

『アパートの鍵貸します』

Apartment_21960年米。ビリー・ワイルダー監督。ジャック・レモン、シャーリー・マクレーン他。アマゾンの紹介文。

上役の情事の為に自分のアパートを貸しているしがない会社員バド。それもみんな出世のため。だが、人事部長がつれ込んできたエレベーターガールの女性フランは、バドの意中の人だった。出世か、それとも恋人か、最後にバドが選んだ答えとは……?(引用終わり)

アカデミー賞5部門を受賞した名作であるが、上司の不倫のためにアパートを貸して、それと引き換えにラクに出世しようとする主人公は、植木等も真っ青(?)の要領人間ぶりだし、クリスマスに職場で乱痴気騒ぎするシーンも含め、今なら完全にセクハラ、パワハラもののストーリー展開だ。

現代の観客からすると大きな違和感を覚えるが、それを除けば大変よく出来た大人のラブコメディだ。根は善良で優しいバドと、可憐だが男運の悪いフランが、最後はお約束どおりハッピーエンドを迎えるところは何とも微笑ましく、清々しい。コンパクト、テニスラケット、電話盗聴、献体など、随所に散りばめられた小ネタも楽しかった。

6月23日 ジョグ10キロ

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2016/06/21

『2001年宇宙の旅』

2001_21968年、英米。Yahoo!映画の紹介文。

アーサー・C・クラークの原作を基に、S・キューブリックが映像化したSF映画の金字塔。人類の夜明けから月面そして木星への旅を通し、謎の黒石板“モノリス”と知的生命体の接触を、クラシックをBGMに色褪せることのない壮観かつ哲学的な映像で描いていく。(引用終わり)

死ぬまでに一度は観ておくべき映画シリーズ。言わずと知れた名作中の名作である。モノリスの正体や、ボーマンが行き着いた白い部屋の意味、赤ん坊が地球を眺めるラストシーンなど、最後までほとんど謎だらけなのに、それに対する説明が一切ない難解な映画というイメージが強く、これまで敬遠していた。

そこで今回、ハヤカワ文庫の小説版も併せて借り、ほぼ同時並行で鑑賞してみた。文庫本の解説によれば、映画の脚本そのものも小説と同時並行だったらしい。おかげで、コンピューターHAL9000が反乱を起こした理由や、なぜ地球上と同じような白い部屋が用意されていたか、またモノリスの形状の根拠などについては、合理的な説明によって理解が出来た。

それにもかかわらず、モノリスの正体や、最後の場面の意味については、何となく分かったという程度でしかない。キューブリック監督は、この映画の核心は「神」であると語ったそうだが、その具象化がモノリスなのかどうかは不明だ。しかし、むしろ肝心の部分についての説明がなく、様々な解釈を生んでいることこそが、この映画の傑作たる所以なのかもしれない。

そうした穿鑿はともかくとして、これが1968年、即ちあの『スター・ウォーズ』第1作が封切られる9年前、もちろんCGなどなかった時代に作られたのが信じられないほど、クオリティの高い映像に驚かされる。無重力空間の忠実な表現など、科学的な正確さの点でも他に例を見ない。

そして、何より音楽の使い方である。この映画で使われなければ、リヒャルト・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」が今ほど有名になることはなかっただろう。この曲をバックに誕生した人類最初の道具である動物の骨が、放り上げられると瞬時にして宇宙船に変わり、快適な宇宙の旅を象徴する音楽として、同姓シュトラウス(ヨハン2世)の「美しく青きドナウ」が流れる。実に見事というしかない。

6月19、21日 ジョグ10キロ

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2016/06/18

何を今さらカーボロード

1日2食生活にして1年近く経過し、体重の方は59キロ前後で安定している。BMIで言うと、21程度である。たまに58キロ前後まで落ちることがあって、その時は軽い昼食を摂って調整している。

それが、昨日は59.8キロと急増したので驚いた。一昨日に58.4キロまで落ちたのに安心して、昼に蕎麦を食べたのが原因だろうか。それにしても、1日で1.4キロもの増加は最近経験がない。

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と思いながら、最近は月1回になってしまった吉野LSDに出かけ、走り始めてふと気がついた。昨日は昼の蕎麦に続いて、夜はカレーライスを食べたのだ。蕎麦に加え、滅多に食べないご飯を、それも夜に食べたものだから、期せずしてカーボローディングしてしまい、その副作用として水を溜め込んでいたのだ。

最盛期は3日間のカーボロードで2キロほど体重が増えた記憶があるから、1キロ強の増加は驚くに当たらない。走り始めて30分もすると身体が軽くなる感覚も当時と同じだ。分かってみると何の不思議もないが、レースから引退してそんな言葉も忘れていたのだなあ。(苦笑)

6月17日 LSD40キロ

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2016/06/15

『高校入試』

Koukou_22012年10月期、フジテレビ系で放映。長澤まさみ他。湊かなえが初めてオリジナル脚本を執筆。アマゾンの紹介文。

県立橘第一高等学校(略称:一高)は例年の2倍に上る東京大学合格者を10名輩出している、地元ではその名を知らない者はいない有名進学校。この地域では東京大学に進学するよりも一高に合格することがより難易度の高い目標であり、卒業後にたとえ三流大学に進学しても一流大学へ進学した者より学歴が上に見られる傾向がある。
入試前日、過去のトラブルを教訓に教師たちが準備に追われる中、「入試をぶっつぶす!」と書かれた紙が各教室の黒板に張られていたり、坂本の携帯電話が盗まれ、2年B組の黒板の上に隠されていたりと不穏な出来事が相次ぐ。同じ頃、インターネット上の掲示板では、ハンドルネーム「名無しの権兵衛」と名乗る人物が宣戦布告をしていた。(引用終わり)

公式サイトに「全ての登場人物に犯人の可能性があり、最後まで事件の真相は謎に包まれている」とあるように、最終話まで事件の真相が伏せられ、思わせぶりなカメラアングルのせいもあって、校長も含め全ての登場人物に犯人の可能性があるように思える。

その中で入試当日を迎え、犯人の予告どおり次々と事件が起こる。観る者の緊張感は高まるばかりである。文字通りのサスペンスドラマとして大変よく出来ていると思うが、ミステリーとしては結末がややリアリティに欠ける。犯行の動機も弱い。

ただ、ほぼ一高校内のみを舞台に、前日から当日にかけて、入学試験の顛末を描いているということで、古典演劇の「三一致の法則」を踏まえたオーソドックスな脚本である。登場人物が自分のバックグラウンドを長々と語る場面もあり、まるで舞台演劇を観ているような錯覚を覚えた。

6月14、15日 ジョグ10キロ

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2016/06/12

『境遇』

Kyogu2011年12月、テレビ朝日系で放映された2時間ドラマ。湊かなえ原作。松雪泰子、りょう他。公式サイトの紹介文。

物語の主人公は二人の女性。一人は政治家の夫と幸せな家庭を築き、さらに絵本作家としても注目を浴びる主婦・陽子。もう一人は、家族のいない天涯孤独な地方紙記者・晴美。ふたりは親友であり、お互い過去に親に捨てられたという共通点があった。
ある日、陽子の幼い息子・裕太が誘拐され、「世間に真実を公表しなければ、息子の命はない」という脅迫状が届く。晴美に助けを求める陽子。裕太を救うため、陽子と共に奔走する晴美。すると、陽子の絵本の大ファンだという一人の女性の存在が浮上する。犯人はその女性なのか、それとも!? 犯人の指す「真実」が明らかになるとき、彼女たちの歩んできた人生の意味が改めて浮き彫りになっていく。(引用終わり)

デビュー作の『告白』から3年、湊かなえ初のTVドラマという触れ込みで、朝日放送創立60周年記念として制作されたそうだ。

過去には同じような「境遇」下で育ち、親友だった陽子と晴美だが、現在のそれはあまりに対照的である。その辺りからして仕掛けを感じてしまうが、果たして大方の予想どおりの結末かと思いきや、それで終わってしまう湊かなえではない。

意表を突くドンデン返しで一瞬頭が混乱するものの、それによって単純な推理サスペンスから人間ドラマへと深まっていく終盤の展開が良い。TVドラマ特有の分かりやすいキャラクター設定には苦笑してしまったが、さすがに60周年記念作品として丁寧に作られた作品だと思った。

6月10、12日 ジョグ10キロ

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2016/06/09

湯シャン、始めました

シャンプーを使わないのだから、本当は「湯洗い」などと言うのが正しいと思うが、それはともかく、髪を洗うのにシャンプーなどを一切使わず、ただ湯で洗い流すだけになった。同様に、体を洗うのにも石鹸やボディソープを一切使わないようになった。

以前読んだ『傷はぜったい消毒するな』の中で、皮脂は大切な役割を果たしており、むやみに洗い流さない方が良いと教えられ、実践する機会を探っていた。ただ、生来の貧乏性ゆえ、買い置きのシャンプーやボディソープを使い切るまで待っていたのだ。(苦笑)

ほぼ半月が経過したが、頭や体に痒みを感じることもないし、体臭が気になることもない。以前、頭は円形のシャンプーブラシで、体は固めのナイロンタオルで、それぞれゴシゴシやらないと洗った気がしなかったものだが、あれは一体何だったのだろうか。

シャンプーやボディソープは買わずに済み、また、それらを洗い流す必要がないので水道代の節約にもなる。これで皮膚の健康が保てるとすれば、まさに良いことずくめだ。これから迎える夏場を乗り切ることが出来れば、何ら問題ないだろう。

6月8日 ジョグ10キロ

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2016/06/06

『ニュー・シネマ・パラダイス』

Paradiso1988年、伊仏。ジュゼッペ・トルナトーレ監督。175分完全オリジナル版を鑑賞。アマゾンの紹介文。

シチリア島の小さな村にある映画館・パラダイス座。親の目を盗んではここに通いつめる少年トトは、大の映画好き。やがて映写技師の老人アルフレードと心を通わせるようになり、ますます映画に魅せられていくトト。初恋、兵役を経て成長し、映画監督として活躍するようになった彼のもとにアルフレードの訃報が。映画に夢中だった少年時代を懐古しつつ、30年ぶりにトトはシチリアに帰ってきた・・・。(引用終わり)

死ぬまでに一度は観ておくべき映画シリーズ。エンニオ・モリコーネによる有名なテーマ音楽だけは知っていたが、さすがに名画の誉れ高い作品だけのことはあった。映画そのものがテーマのような映画というのか、登場人物たちの、そして監督自身の映画愛に満ちた作品であることは確かだ。

しかし、それ以上に、トトことサルヴァトーレの人生を軸に、人の絆、青春、恋愛、別離、死など、人生のさまざまな哀歓を冷静に描いた人間ドラマとして、大変よく出来た作品であると感じた。とりわけ、30年ぶりに故郷に戻ったトトが、かつての恋人と再会し、当時の出来事の真相を知るシーンには心が震えた。

ハリウッド映画のような過剰な演出はなく、どの出来事も一見淡々と描かれているけれども、ひとつひとつに深い意味合いが籠められていて、何度観ても新しい発見がある。そんな作品かもしれない。175分もあるので、多分もう観ないと思うが。(苦笑)

6月5、6日 ジョグ10キロ

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2016/06/03

『愚者の連鎖』

Gusha堂場瞬一の著書は久々。アマゾンの紹介文。

参事官の後山の指令で、完全黙秘を続ける連続窃盗犯の取り調べを行うことになった刑事総務課の大友鉄。その沈黙に手こずる中、めったに現場には来ないはずの後山と、事件担当の検事まで所轄に姿を現す。背後にはいったい何が? 異色のシングルファーザー刑事の活躍を描き人気を博す「アナザーフェイス」シリーズ長編第七弾。(引用終わり)

黙秘を続けていた窃盗犯が大友の聴取に応じて早々と自供し始め、おやおやと思っていたら、その背後にもっと複雑な事件が潜んでいた。後山参事官や担当検事までが所轄に顔を出した理由も、実はそこにあった。

このシリーズでは引っ張るだけ引っ張って、結末が呆気なかったりする作品もあったが、今回は「一粒で二度おいしい」というのか、中だるみせず最後まで読ませる「当たり作」になった。一方、後山との関係が大きく変化することになり、本シリーズが今後どう展開するのか予想がつかなくなった。

ところで、少し前に朝日新聞夕刊の連載エッセイ「作家の口福」に堂場氏が登場していた。手軽に出来てそこそこ美味い「男の料理」をいくつか紹介しているのだが、最終回で意外な事実が判明した。まず、酒を飲まない人であること。そして、結婚していることである。ともに逆だと思っていたので驚いた。作風と私生活は全く関係ないということか。さすがはプロである。

6月1、3日 ジョグ10キロ

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