『太秦ライムライト』
2014年イレブンアーツ・ジャパン他。福本清三、山本千尋他。公式サイトの紹介文。
かつて日本のハリウッドと呼ばれた京都・太秦。香美山(福本清三)は、太秦の日映撮影所に所属する斬られ役一筋の大部屋俳優。大御所の時代劇スター尾上(松方弘樹)の時代劇も打ち切られ、出番がない日々が続く中、香美山は、駆け出しの女優・さつき(山本千尋)と出会う。
さつきは香美山に殺陣の指導を請うが、「女優さんに立ち回りの役はありまへんで」と言い断る香美山だったが、さつきの熱意に負け、やがて二人はともに殺陣の稽古をする師弟関係となる。香美山との稽古の甲斐もあり、時代劇でさつきはチャンスをつかみ、スター女優の階段を昇るべく、東京に旅立った。
・・・時が経ち、さつきが主演を演じる大作時代劇の撮影が撮影所で行われることになるが、香美山の姿もなく、お世話になった人が皆引退してしまったことを知り、いつしか大切なものを見失っていたことに気づく。体調を崩して引退して故郷で余生を送っていた香美山のもとを、さつきは訪れて復帰を懇願する。かたくなに復帰を拒否する香美山にさつきは稽古を申し込む。
一ヶ月後・・・香美山は撮影所にいた。最後に尾上と刀を交わすために。そして、最愛の弟子さつきに斬られるために・・・。(引用終わり)
言うまでもなくチャップリンの名作のリメイクであり、脚本の大野裕之は日本チャップリン協会会長を務めるチャップリン研究家にして、劇作家、映画プロデューサー、劇団とっても便利代表とのことである。
原作は道化師の主人公とバレリーナという設定で、どちらもショービジネスながら仕事そのものは別だったが、ここでは斬られ役のベテラン俳優と新人女優で、剣術の指導を通じて二人が師弟関係になることで、より関係性を深めていると言えよう。
立ち回り場面の迫力ある映像や、それを撮影する裏方の様子も興味深かったが、それを支える役者たちの努力や苦労がテーマだ。人気のない深夜の撮影所で黙々と竹刀を振る主人公の姿が印象的である。肋骨が浮き出た痩せた体で、文字通り老骨に鞭打って演技する福本清三の存在そのものが、この作品を支えている。ただ、セリフが多少聞きづらいのが残念だった。
12月20日 LSD40キロ
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