『ノスタルジア』
1983年、伊ソ。アンドレイ・タルコフスキー監督。アマゾンの紹介文。
自殺したロシアの作曲家の取材のためにモスクワからイタリアに旅行に来ている作家アンドレイ・ゴルチャコフは、温泉の街バーニョ・ヴィニョーニで老人ドメニコに出会う。ドメニコは世界の終末を信じ、7年間にもわたって家族を幽閉したため周囲からは奇異な目で見られていた。彼はアンドレイに「ロウソクに火を灯し、それを消すことなく温泉の広場の端から端まで渡れたら、世界が救済される」と言い残し、ローマに発つ。マルクス・アウレリウス像の下で人々に目を覚ませとアジテーションを行ったドメニコは人々の見守る中で焼身自殺。その頃、アンドレイはドメニコの言葉通り、ロウソクに火を灯し温泉を歩き出していた……。(引用終わり)
この監督は初めて。ウィキペディアによれば、「『映像の詩人』と呼ばれ、叙情的とも言える自然描写、とりわけ『水』の象徴性を巧みに利用した独特の映像美で知られる。深い精神性を探求し、後期から晩年にかけて、人類の救済をテーマとした作品を制作・監督する。表現の自由を求めてソ連を亡命し、故郷に還ることなく、パリにて54歳で客死する」。
つまり、大変に芸術性の高い、簡単に言えば難解な作品が多く、従ってコアなファンからは熱狂的に支持されている監督らしい。この作品もその最たるものらしく、やたら長回しでセリフが少なく、光の変化だけで表現されるシークエンスもあり、映画というより、「動く絵画」を鑑賞している気分である。
ドメニコが街頭演説の直後に焼身自殺するシーンで、ベートーヴェンの「第九」の一節が鳴らされ、「全ての人々は兄弟となる」という歌詞が演説内容によく合っていて感心した。しかし、それを除けば全体のストーリーはほぼ理解不可能だった。おそらくキリスト教信仰への理解が最低限必要だろう。途中、眠気を催してしまったことを正直に白状しておく。
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