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2015/08/31

『トリコロール/赤の愛』

Rouge_51994年仏他。「トリコロール」三部作の最後にして、クシシュトフ・キェシロフスキー監督最後の作品。ウィキペディアの紹介文。

ジュネーヴに住む大学生・ヴァランティーヌは学業の傍ら、ファッションモデルをして暮らしていた。電話だけでしか逢えない恋人からは、常に浮気を疑われ、ヴァランティーヌ自身も彼への愛に疑問すら抱き始めていた。一方、法学生のオーギュストは、司法試験に向けて勉強の日々。心の支えは年上の恋人なのだが…。
ある日暮れ、ヴァランティーヌは車で犬を轢いてケガをさせてしまう。犬の首輪についていた住所札をもとに犬の飼い主を訪ねていくが、そこに住んでいたのは隣人の電話の盗聴を趣味とする、人間不信のかたまりのような老いた元判事。彼の盗聴を「卑怯だ」と憐れむヴァランティーヌに、判事は自分が人間不信の虜になった若き日のトラウマを告白する。次第に判事とヴァランティーヌは心を通わせていく。
ある時ついに、判事が盗聴容疑で法廷に立つことになった。隣人の訴えではなく、彼自身が警察に自首したのだ。そして、物語は「トリコロール3部作」をまとめあげるクライマックスへと進んでいく―。(引用終わり)

青=自由、白=平等に続き、赤=博愛をテーマにしていて、前2作以上に赤色が映像の随所にちりばめられて効果を上げている。DVDのパッケージにもなっている、主人公がモデルのガムの赤い広告は、それが強風のため撤去されることで最後のシーンを暗示しているし、彼女の運命の人となるオーギュストが乗る車は真っ赤なジープだ。

主人公ヴァランティーヌ役のイレーヌ・ジャコブの気品ある美しさと、元判事ヴェルヌを演じたジャン=ルイ・トランティニャンの大変味わいのある演技が素晴らしい。正反対の人生観をもっていた二人が次第に心を通わせていく様子が、いろんな小道具や光線の使い方で巧みに演出されている。

最後の場面ではヴァランティーヌとオーギュストに加え、『青の愛』と『白の愛』のカップルも登場し、三部作を見事に締めくくっている。それどころか、『デカローグ』で使われた架空の作曲家ブーデンマイヤーの曲もCDとなって再び登場し、エンドロールでは初めてこの作曲家の名前が登場する。まだ観ていないが、同じジャコブ主演の『ふたりのベロニカ』とも関連するようで、キェシロフスキー監督の総決算となる作品なのだろう。

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