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2015/08/28

『トリコロール/白の愛』

Blanc1994年仏他。「トリコロール」三部作の2作目。ウィキペディアの紹介文。

ポーランド人理髪師のカロル(ズビグニェフ・ザマホフスキ)は、フランス人の妻・ドミニク(ジュリー・デルピー)から性的不能を理由に離婚を付きつけられる。フランス語もろくに話せず、異国で途方に暮れていたカロルは、偶然知り合った同郷の怪しげな男・ミコワイ(ヤヌーシュ・ガヨス)の手引きで、何とか故郷ポーランドに帰りつく。兄のもとに身を寄せたカロルは一念発起、実業家として成功する。そんな時、ミコワイから「ある男」の暗殺依頼が。時同じくしてカロルは、可愛さ余って憎さ100倍の元妻・ドミニクに対してある復讐を企てた―。(引用終わり)

前作の「青」がフランス国旗で「自由」を意味し、いわば過去の愛からの自由、解放をテーマにしていたとすれば、「平等」を意味する「白」の本作は、「愛に平等は存在するのか」がテーマだという。

日本人にとっては理解しがたい面があるが、どうやらフランスでは性愛が夫婦関係の基本らしく、夫の不能を理由とする離婚訴訟などというものが、公開の法廷に持ち込まれるのだ。ドミニクは愛に恵まれない、同情されるべき女性ということになるのだろう。

しかし、だからと言ってカロルに対する愛情が全くなくなったわけではない。ポーランドでの彼の葬儀にわざわざパリから駆けつけたのは、彼が遺した遺産のためばかりではあるまい。ましてやそれが、彼女を見返してやろうとカロルが企てた偽りの葬儀だったとは、知る由もなかったのだ。

カロルは自分の葬儀で涙を流すドミニクの姿を遠くから見て、まだ自分への愛が失われていなかったことに気づく。彼女との再会を果たした彼は、今度は彼女を満足させることが出来た。ドミニクが安らかな眠りから目覚める前に、カロルは世間から姿をくらますために立ち去るが、その直後、遺産目当ての夫殺しの疑いで彼女は警察に逮捕されてしまう。

拘置所に収容されたドミニクにカロルが会いに行くラストシーンは感動的だ。鉄格子の窓越しに、ドミニクが「もし私が死刑にならなければ、私ともう一度結婚してくれる?」(多分)と手振りで問う姿に、カロルは大粒の涙が流れるのを止められない。ようやく二人は同じ愛を共有することが出来たのである。

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