『阿修羅のごとく』
引き続き、森田芳光監督作品。2003年、東宝。ツタヤの紹介文。
昭和54年の冬。竹沢家の三女・滝子(深津絵里)が突然3人の姉妹全員を呼び集めた。滝子は探偵の証拠写真を示し、70歳になる父・恒太郎(仲代達矢)に愛人と子供がいると伝える。4人は母には知らせないようにと約束する。だが、彼女たちも互いに人には言えない問題を抱えていた。華道で生計を立てる未亡人の長女・綱子(大竹しのぶ)は、妻子ある男性と付き合っている。次女・巻子(黒木瞳)は夫の浮気を疑い始めていた。潔癖症の滝子は、父の調査を頼んだ内気な青年との恋が足踏み状態。四女・咲子(深田恭子)は売れないボクサーと同棲中。母・ふじ(八千草薫)だけが、何も知らずに平穏な日々を過ごしているようだった…。(引用終わり)
冒頭に阿修羅についての説明があって、「インド民間信仰上の魔族。外には仁義礼智信を掲げるかに見えるが、内には猜疑心が強く、日常争いを好み、たがいに事実を曲げ、またいつわって他人の悪口(あっこう)を言いあう」云々とある。また、最後の方で巻子の夫・鷹男(小林薫)の「女は、阿修羅だよなあ」というセリフがあるように、女性の性(さが)やありのままの日常といったものがテーマである。
父や夫の浮気、姉妹間の嫉妬や確執など、深刻なお話ばかりだが、それが不思議とそれほど重くならない。むしろそれが普通であり、「10年経てば笑い話になる」と達観しているかのようであるし、そこかしこに大人の苦笑いを誘う仕掛けが施されている。繰り返し登場する食事シーンを含め、TVドラマをリメイクした作品であると聞けば得心がゆく。
ところで、阿修羅はなにも女の専売特許ではない。興福寺の阿修羅は少年の姿をしているし、こんな格好でマラソンを走ったアホオヤジもいるのだ。(笑)
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