『デカローグ』
1989~90年、ポーランド。クシシュトフ・キェシロフスキー監督作品。ツタヤの紹介文。
ワルシャワ郊外の住宅地を舞台として、旧約聖書の十戒をモチーフに様々な人間模様を綴ったキェシロフスキーの連作集。元々はTVのミニ・シリーズ用に製作された作品。10篇から成り、それぞれ現代社会における矛盾や悲劇を辛辣に描き出している。第5話と第6話は「殺人に関する短いフィルム」「愛に関する短いフィルム」として再編集され先に劇場公開されている。(引用終わり)
前に観たTVドラマ『独身貴族』の中に出てきたので観てみた。10篇それぞれのタイトルと対応する十戒の項目は次のとおりである。
第一話 ある運命に関する物語
「あなたは私の他になにものをも神としてはならない」
第二話 ある選択に関する物語
「あなたはあなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない」
第三話 あるクリスマス・イヴに関する物語
「安息日を覚えてこれを聖とせよ」
第四話 ある父と娘に関する物語
「あなたの父と母を敬え」
第五話 ある殺人に関する物語
「あなたはなにものをも殺してはならない」
第六話 ある愛に関する物語
「あなたは姦淫してはならない」
第七話 ある告白に関する物語
「あなたは盗みをしてはならない」
第八話 ある過去に関する物語
「あなたは隣人について、偽証してはならない」
第九話 ある孤独に関する物語
「あなたは他人の妻を取ってはならない」
第十話 ある希望に関する物語
「あなたは隣人の家をむさぼってはならない」
十戒をモチーフとしているけれども、内容は説教臭さとは全く無縁である。人間の性(さが)というものを徹底的に掘り下げ、抉り出し、観る者の前に曝け出してみせる。ワルシャワ郊外の寒々とした高層アパートが舞台となっているが、おそらく世界中のどこであろうとほぼ同じ映画が成立するような普遍性を有している。
派手なアクションもなければBGMもほとんどなく、子音の目立つポーランド語のセリフがポツリポツリと呟くように発せられるばかり。その独特な作品世界に入り込めるまで、少し時間を要したのかもしれない。劇場公開された第五話、第六話に加え、妻の不貞に悩む不能男の苦悩を描いた第九話、亡父の切手コレクションが兄弟に投げかけた波紋をコミカルに綴った第十話が特に印象に残った。
6月9、10日 休養
6月11日 ジョグ10キロ
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