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2015/06/28

『バニシングポイント』

Vanishingpoint久々に佐藤正午作品。版元の紹介文。

タクシー運転手、経理部社員とその妻…。ありふれた生活の裏側にぴったりと張りつく、人それぞれののっぴきならない秘密。ある日突然、彼らの足元に稲妻のような亀裂が走る。普通の人々のドラマ。(引用終わり)

タイトルの「バニシングポイント」 Vanishing Point とは、遠近法で平行線が奥行方向に向かって最終的に集まる点のことを言うそうである。この連作短篇集の登場人物たちは、互いにどこかで接点を持ち、それだけで済むこともあれば、のっぴきならない関係に陥ることもある。ただ、彼らが最終的にどこか1点で集約されるのかは不明である。

あちこちに伏線が張り巡らされているようなのだが、それらが明示的には回収されないまま、また新たな伏線が乗っかっていくようで、読んでいてフラストレーションが溜まった。読み方が浅いのかもしれないが、文芸誌に3~4か月おきに掲載されていた初出時、どれだけの読者がついてこられたのだろうか。

それはともかく、こうした普通の人間たちによる群像劇の試みが、後に大長篇『鳩の撃退法』となって集大成したと言えるのかもしれない。それが証拠に、本作で「少年」として登場した倉田健次郎が、『鳩…』でも裏社会の大立者として登場しているのだ。この作家のたくらみは本当に油断ならない。

6月26~28日 休養(右踵痛)

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2015/06/25

『(ハル)』

Haru1996年東宝。森田芳光監督作品。ツタヤの紹介文。

「それから」「キッチン」の森田芳光監督が、パソコン通信で出会った男女の恋を描く異色のラブ・ストーリー。速見昇は“ハル”というハンドル名でパソコン通信の映画フォーラムにアクセスする。仕事も恋もうまくいかず鬱屈していた(ハル)に、励ましのメールを送ってきたのは(ほし)という人物だった。互いの実像をわからないまま二人は次第に本音を伝え合うようになる。やがて、(ほし)の住む盛岡に出張することになった(ハル)はそこで会おうと提案するが……。 (引用終わり)

パソコン通信。懐かしい響きだ。ブラウン管ディスプレーのパソコン、モデムの「ピーガー」というノイズ、フロッピーディスク。接続中は電話が使えないので、家族に断ってから使っていたなあ…。

この映画の公開は1996年3月である。パソコン通信で知り合った男女が、メールのやりとりだけで交流を深め、ラストシーンで「はじめまして」と顔を合わせるという設定は、当時としては画期的というか、実験的とでも言うべき内容だろう。

自分自身、ニフティサーブのランニングフォーラム(FRUN)に参加してから、大袈裟でも何でもなく人生が変わった。会社や地域にいるだけではまず出会うことのない様々な人との交流が生まれ、それは今日まで続いている。このブログだってそうだ。

もちろん、今ではインターネットが普及して、スマホやタブレットで常時つながっているし、LINEやSNSなど交流のツールも多様化している。しかし、データ通信を介した人と人との新たな関係のはじまりがパソコン通信であったことは間違いなく、この映画はそういう意味で記念碑的な価値がある。

恋人を交通事故で亡くし、ストーカーから逃れるため職業を転々とする(ほし)の陰影ある内面を深津絵里が好演している。(ハル)の内野聖陽はちょっと生硬な感じがするほど真面目でひたむきな人物造形だ。

この監督の作品らしく、主人公の日常生活などのディテールも徹底している。その辺りのこだわりについて、DVD特典映像のインタビューで監督自身の口から聴くことが出来、大変興味深い。

6月23日    ジョグ10キロ
6月24、25日 休養(右踵痛)

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2015/06/22

大仏鉄道廃線ラン

昨日、旧関西鉄道の加茂-大仏(奈良市法蓮町付近)-奈良間(通称大仏線、大仏鉄道)跡を走った。このところのゲリラ豪雨が心配されたが、走り終えるまで何とかもってくれた。その代わり大変に蒸し暑かったが。

大仏鉄道は名阪間を結ぶ関西鉄道の乗客を奈良に運ぶ支線として、明治31年に加茂-大仏間で開業、翌年奈良まで延伸したが、その後、奈良鉄道との合併により路線が重複したことと、急勾配の難所をかかえていたことから、開業から僅か9年後の明治40年に廃止となった。

私同様、地図大好き人間のKさんと一緒に起点の加茂駅からスタート。ここから約2キロは現関西本線と並行して走っていたが、大仏線の遺構はほとんど見当たらない。加茂小学校のグラウンド横に、関西鉄道を走っていた昭和12年製の「貴婦人」ことC57機関車が展示されていた。

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この先は線路から離れ、田んぼ道を辿って行くと、観音寺橋台が見えてきた。大仏線が奥の関西本線と並行して走っていた様子がよく分かる。偶然、JRの快速電車が通過したのに、シャッターチャンスを逃してしまった。

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竹林のなかの未舗装路を進むと美加ノ原カンツリークラブに突き当たる。アウト4番ホール(多分・笑)のティーグラウンドの横を回り込むと、鹿背山(かせやま)橋台があった。現在はここから200Mほど北を走る関西本線も、かつてはこの付近まで大仏線と並行していたはずだが、その痕跡は見当たらなかった。

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ゴルフ場の入口を過ぎてすぐの梶ヶ谷隧道(かじがたにずいどう)。レンガを積んだアーチが美しい。これは地元の人が通行するためのものであり、鉄道は今では道路となっている隧道の上を走っていた。これ以降の隧道も全て人や用水を通すためのものであり、大仏線唯一の鉄道トンネルだった黒髪山トンネルは既に取り壊されている。

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赤橋。橋桁の一部は木材が使用されている。コンクリートは後で道路転用する際に補強したものだろうか。

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この辺りから右手には城山台という新しい住宅地が広がり、モダンな新築住宅がポツポツと点在している。100年以上前の鉄道遺構と好対照だ。梅谷交差点に下りていく箇所はかなりの急勾配で、ここは橋梁で道路を越えていたようだが、その痕跡はなかった。梅見台を通り、州見(くにみ)台住宅地の外れに松谷川(まつたにがわ)隧道がひっそりと残る。

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ここからまた急勾配の登りとなり、京都と奈良の府県境を越える。梅谷口交差点の先の鹿川(しかがわ)隧道。用水を通すためのもので、今も現役だそうだ。

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この先、急な坂を登りきったところに黒髪山トンネルがあったが、昭和40年代の道路拡張で山を開削したため姿を消した。上空を横切る橋がかつての山の高さを示す。奈良マラソン発着点の鴻ノ池陸上競技場を過ぎて、左にカーブする道路と別れて大仏線は直進していたはずだが、その痕跡はどこにもない。大仏駅があったと思われる場所から少し南に記念公園があり、わずかに痕跡をとどめるのみである。

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ここから自宅に戻るKさんと別れ、船橋商店街をダラダラ下っていると雨が降り出した。幸い、雨脚が強くなる前に奈良駅に到着したが、Kさんは自宅直前でずぶ濡れになったそうだ。嗚呼。

6月21日 LSD13キロ
6月22日 休養

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2015/06/20

『家族ゲーム』

Game_21983年、森田芳光監督作品。松田優作他。ツタヤの紹介文。

息子の高校受験のためにと雇った風変わりな家庭教師がやって来たことで一家に巻き起こる騒動を描いた傑作ホーム・コメディ。「の・ようなもの」の森田芳光監督が、現代家庭の抱える問題をシュールなタッチでユーモラスに描く。横一列に並んでの食事シーンなど斬新な表現手法が話題を呼んだ。出来のいい兄とは反対に、問題児の中学3年の弟・沼田茂之。高校受験を控えて、家庭教師としてやって来たのは三流大学の7年生でなぜか植物図鑑を持ち歩く吉本勝という奇妙な男だった……。(引用終わり

「よく勉強して成績を上げて、いい学校を卒業して、いい会社に入る」ことが、高度成長期の日本では絶対的な価値基準となり、特に都市部ではそれがほとんどの家族を支配していた。子供をいい学校に入れることが親の最大の使命となり、子供はその期待を一身に背負って毎日を過ごすことになる。

それをあたかも「ゲーム」であると措定してみたところから、この作品は始まっているのだろう。いろんなコメントにあるように、この一家は食事の際もお互いの顔を眺めるのではなく、横一列になって顔を合わせないまま食事をとる。あたかも、あるべき家族像が正面にあって、皆でそれとだけ向き合っているかのように。

そこに現れた型破りな家庭教師・吉本が、次男を立ち直らせてみごと高校受験に成功させるが、今度は長男が問題児になりかけ、父親がその指導をも引き受けさせようとした辺りから、吉本の秘められていた怒りに火がつく。次第次第にカタストロフィーへと突き進む、この食卓シーンは圧巻である。筒井康隆の小説を連想させる、不条理かつシュールレアリスムの世界が映像になってそこにあるのだ。

それまでのアクションものとは全く違った役柄を演じた松田優作の演技が、何といっても素晴らしい。共に既に鬼籍に入った伊丹十三と絡むシーンなど、まさに鳥肌が立つほどゾクゾクさせられる。

ところで、兄弟が部屋で眠りこけ、外でヘリコプターが飛び回る様子を窺った母親も居眠りしてしまうラストシーンは解釈が難しい。沼田家の一見すると平和な日常生活の外では、大きな時代変革が進行しつつあるという寓意だろうか。いずれにせよ、観る者の心にそこはかとない不安を残すエンディングである。

6月18日 休養
6月19日 ジョグ10キロ
6月20日 休養

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2015/06/17

初めてのボーナス

もちろん、自分の話ではない。4月から新社会人になった息子が、生まれて初めてボーナスをもらった。夏のボーナスは通常、前年度下期の業績見合いの報奨金であり、当該期間の業績ゼロの新入社員には入社祝い金として支給され、金額は「金一封」程度の場合が多い。

彼はそのなけなしの賞与から、ちょうど買替え時期に来ていた炊飯器をプレゼントしてくれた。仮配属先が北関東の片田舎で他に使い道がないとか言っていたが、そんな気を遣わず将来に備えて貯金してくれても良かったのに…。しかしまあ、折角だから有難く頂戴しておくことにした。

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卒業まではそれぞれ○万円の家賃と仕送りを毎月送っていたことを思えば、それがなくなっただけでも大助かりなのに、こうやって自分で稼いでくれるようになったのは本当に心強い。こちらが「老後破産」しそうなときにはよろしく頼むぞ。(笑)

6月15、16日 休養
6月17日    ジョグ10キロ

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2015/06/14

『わたし出すわ』

Dasuwa_22009年、森田芳光監督作品。小雪他。アマゾンの紹介文。

山吹摩耶が突然、故郷の函館に帰ってきた。東京でどう稼いだのか莫大な財を築いている。高校卒業以来何も変わっていない街で、久々に高校の同級生たちと再会する摩耶。そして彼らの「夢」や「希望」の実現のために、次々に「わたし、出すわ。」と自分のお金を差し出していく。友人たちは戸惑いながらも、ついそのお金を受け取ってしまうのだった。果たして摩耶の資金の出所は? 彼女の目的とは? そして大金を受け取った友人たちの夢の行く末は…? 「わたし出すわ」のその先に、それぞれの未来が見えてくる。(引用終わり)

かつてホリエモンは「金で買えないものはない」と豪語したとされるが、この映画の主人公はそれとは対極的な位置にいる。彼女は自分の欲望を満たすためではなく、高校の同級生たちの夢を実現するために、大金をポンと差し出すのだ。ただ、それをうまく活用できるかどうかは、受け取った側の態度次第というところが、この映画のミソかもしれない。

彼女のその行動は何が目的なのか、またその資金の出所はどこなのか、最後まではっきりとしない。資金の出所については、株式投資を示唆する発言があるため大体推測できるが、肝心の目的がよく分からない。入院中で意識不明の重体が続く母を看病するシーンが何度も登場するので、それと関係があるのかもしれないが。

ところで、実業団の長距離選手・川上孝役の山中崇が走るフォームがサマになっていたので驚いた。頭の上下動がほとんどなく、しっかりと胸を張ったいい走りである。本人の公式サイトでは剣道が趣味とあるが、どこかしら共通する動きがあるのだろうか。

なお、同じ監督の『間宮兄弟』で映画デビューした北川景子が、「場をわきまえない記者」というチョイ役ながら、結構いい味を出している。(結局そこかい・笑)

6月12日 ジョグ10キロ
6月13日 休養
6月14日 ジョグ10キロ

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2015/06/11

『デカローグ』

Dekalog1989~90年、ポーランド。クシシュトフ・キェシロフスキー監督作品。ツタヤの紹介文。

ワルシャワ郊外の住宅地を舞台として、旧約聖書の十戒をモチーフに様々な人間模様を綴ったキェシロフスキーの連作集。元々はTVのミニ・シリーズ用に製作された作品。10篇から成り、それぞれ現代社会における矛盾や悲劇を辛辣に描き出している。第5話と第6話は「殺人に関する短いフィルム」「愛に関する短いフィルム」として再編集され先に劇場公開されている。(引用終わり)

前に観たTVドラマ『独身貴族』の中に出てきたので観てみた。10篇それぞれのタイトルと対応する十戒の項目は次のとおりである。

第一話 ある運命に関する物語
     「あなたは私の他になにものをも神としてはならない」
第二話 ある選択に関する物語
     「あなたはあなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない」
第三話 あるクリスマス・イヴに関する物語
     「安息日を覚えてこれを聖とせよ」
第四話 ある父と娘に関する物語
     「あなたの父と母を敬え」
第五話 ある殺人に関する物語
     「あなたはなにものをも殺してはならない」
第六話 ある愛に関する物語
     「あなたは姦淫してはならない」
第七話 ある告白に関する物語
     「あなたは盗みをしてはならない」
第八話 ある過去に関する物語
     「あなたは隣人について、偽証してはならない」
第九話 ある孤独に関する物語
     「あなたは他人の妻を取ってはならない」
第十話 ある希望に関する物語
     「あなたは隣人の家をむさぼってはならない」

十戒をモチーフとしているけれども、内容は説教臭さとは全く無縁である。人間の性(さが)というものを徹底的に掘り下げ、抉り出し、観る者の前に曝け出してみせる。ワルシャワ郊外の寒々とした高層アパートが舞台となっているが、おそらく世界中のどこであろうとほぼ同じ映画が成立するような普遍性を有している。

派手なアクションもなければBGMもほとんどなく、子音の目立つポーランド語のセリフがポツリポツリと呟くように発せられるばかり。その独特な作品世界に入り込めるまで、少し時間を要したのかもしれない。劇場公開された第五話、第六話に加え、妻の不貞に悩む不能男の苦悩を描いた第九話、亡父の切手コレクションが兄弟に投げかけた波紋をコミカルに綴った第十話が特に印象に残った。

6月9、10日 休養
6月11日   ジョグ10キロ

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2015/06/08

『探偵の探偵』

Detective_2松岡圭祐著。この作家は初めて。カバーの紹介文。

中堅調査会社が併設する探偵養成所に、決して笑わぬ美少女・紗崎玲奈が入校する。探偵のすべてを知りたい、しかし探偵にはなりたくない、という彼女には、自分から言えぬ過酷な過去があった。調査会社社長・須磨は玲奈の希望を汲み、探偵を追う“対探偵課”の探偵として彼女を抜擢した。怒涛の書下ろしシリーズ開幕。 (引用終わり)

同じくカバーの著者紹介によればこの作家は1968年生まれ、映画化された『万能鑑定士Qの事件簿』などと合わせ「累計1000万部を優に超える人気作家」なのだそうである。これまで名前を聞いたこともなかったが、確かに文句なしの面白さに唸ってしまった。

「探偵の探偵」という斬新な設定、スピード感溢れる展開、主人公玲奈の人物造形も際立つ。それに加えて、探偵業界の内情や調査の裏ワザ、パソコンに関する専門知識まで盛り込まれていて、第一級のエンターテインメント小説に仕上がっている。

ああ、7月からの木曜夜が楽しみだこと。(笑)

6月6日 休養
6月7日 ジョグ10キロ+登山
6月8日 休養

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2015/06/05

『ドライビング Miss デイジー』

Missdaisy_21989年米。ツタヤの紹介文。

老女デイジーと、初老のベテラン黒人運転手ホークとの友情を描いたヒューマン・ドラマ。1948年、夏。長年勤めた教職を退いたデイジーは未亡人。まだまだ元気いっぱいの彼女だったが、寄る年波には勝てず、ある日運転中にあやうく大事故を引き起こしかける。亡くなった父の跡を継いで会社の社長となっていた息子のブーリーは、そんな母の身を案じ、専用の運転手を雇うことにした……。

デイジー役のジェシカ・タンディ、ホーク役のモーガン・フリーマンが大変味のある演技で、最初はホークが運転する車に乗ることを拒否したデイジーが、最後には彼を my best friend と呼びかけるまでに親交を深めていく様子を、淡々と温かく描いている。

まだ人種差別が残る1950年代、60年代の南部ジョージア州が舞台で、マーティン・ルーサー・キング牧師の公民権運動演説などが登場するけれども、人種差別そのものはこの映画のテーマではないだろう。そういう時代背景の中だからこそ、ユダヤ人未亡人と黒人運転手の間に育まれた信頼関係は、いっそう輝きを放つものだということだろう。

6月3日 ジョグ10キロ
6月4日 休養
6月5日 ジョグ10キロ

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2015/06/02

『時限発症』

Jigen_3仙川環著。この作家は初めて。カバーの紹介文。

発症まで、あとわずか! 検疫官・西條亜矢は、新感染症の蔓延を阻止できるか!? アフリカに取材へ出かけた老ジャーナリスト・葛木が、帰国直後に姿を消した。西條は、エボラに感染して隔離されたのではと疑う葛木の娘とともに捜索するも、足取りはつかめない。そんな中、アフリカで新感染症が発生していたという情報が入り……。女性検疫官・西條亜矢が感染症の脅威と闘う、震撼の医療サスペンスシリーズ第二弾。文庫書き下ろし。(引用終わり)

ある必要があって読むことになったが、正統派のサスペンスもので大変読みやすく、あっという間に読了した。葛木が発見されるまで一体どんだけ引っ張るねん!というのはあったが、発見に至るまでの関係者の必死の捜索の模様と、彼らの間の駆け引きや確執といった人間ドラマこそが本書のテーマなのだろう。

著者は阪大大学院医学系研究科修了後、新聞記者となり医療技術等の記事を書いていたという。本書でもその経歴が最大限生かされ、検疫官、ジャーナリスト、新聞記者といった主要登場人物の造形やセリフにリアリティを与えている。

5月31日 休養
月間走行 196キロ
6月 1日 ジョグ10キロ
6月 2日 休養

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