『石を積む人』
エドワード・ムーニー・Jr.著。原題 The Pearls of The Stone Man 。版元の紹介文。
残りの人生でやり残したことをやろうとした、ひと組の仲睦まじい老夫婦。妻のアンは言った。「やりかけたままの石の塀を完成させてちょうだい」。妻との約束を果たすため、ジョーゼフは思うように動かない体で、ひとり石塀を作る。そんなある日、アンが倒れた。余命いくばくもないことを、戸惑いながらも受け入れる夫婦。アンを安心させるため、長年折り合いの悪かった息子ポールと5年ぶりに会い、関係を修復しようとするジョーゼフ。
孤独な少女シャノンとの出会いも、アンの最後の人生に花を添えるものだった。夫ジョーゼフを残したまま、とうとう死を迎えたアンは、部屋のあちこちに夫に宛てた手紙を残す。それは、伝えそびれたジョーゼフへの感謝の言葉や思いやりの言葉といった、愛のメッセージ。ひとり残され孤独感を募らせていたジョーゼフは、妻の手紙にどれほど救われたことか。アンへの愛を再認識するジョーゼフ。
ある日ジョーゼフは、ティムとアイザイアという少年ふたりに襲われる。裁判で有罪になったふたりを救うため、石塀作りを手伝ってもらうことした。アンとの約束はなんとしてでも果たさなければならない。自分には時間がない…。ぎくしゃくと、しかし確実に心を通わせながら、ジョーゼフはシャノンとティムと触れ合っていく。しかし、アイザイアとはなかなか心を通わせられない。それでも石塀は次第にできあがっていった。
石塀を作ることでアンが伝えたかったこと、それは、若い人たちに優しい手を差し伸べてほしいという、愛情溢れる切なる願いだったのだ。アンの愛は、残された者たちを救うのだろうか。ジョーゼフは、妻との約束を果たせるのだろうか。そして、少年たちにジョーゼフの思いは通じるのだろうか…。(引用終わり)
作者は高校教師で、本作で小説デビューしたという。確かに全篇に亘って何となく素人っぽい感じがしないでもないが、現代に生きる我々が見失いがちな、人と人との関係の大切さを、訥々とした語り口で真正面から訴えかけてくる。
少年たちを善導しようするジョーゼフの言動は少し説教臭い部分もあり、それが彼の悲しい最期をもたらしたわけだが、少なくともティムとシャノンのふたりは、彼のお蔭で温かい家庭を築いている。そのことを踏まえたプロローグとエピローグがあり、それらに挟まれた本篇で11年前の出来事が語られるという構成になっている。
ところで、本書は来月公開の日本映画『愛を積むひと』の原作である。出演は佐藤浩市、樋口可南子、北川景子他。やっぱりそこかい。(笑)
5月1、2日 休養
5月3日 ジョグ10キロ
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