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2015/02/14

『アンダーリポート』

Underreport佐藤正午著。この作家は初めて読んだ。アマゾンの紹介文。

単調な毎日を過ごしていた検察事務官・古堀徹のもとに突然・かつての隣人の娘・村里ちあきが現れた。彼女の父親は15年前に何者かによって殺され、死体の第一発見者だった古堀に事件のことを訊ねにきたのだ。古堀はちあきとの再会をきっかけに、この未解決の事件を調べ始める。古い記憶をひとつずつ辿るようにして、ついに行き着いた真相とは―。秘められた過去をめぐる衝撃の物語。(引用終わり)

アンダーリポート under-report とは「過小報告」のことで、本書283頁に、「実際に起きているのに報告されない犯罪、統計にはふくまれることのない犯罪」という記述がある。さらには、殺人事件と認知されても、警察によって見逃され、発覚しない意図を持つ殺人もまた、これに該当するのかもしれない。

純然たる推理ものではない。「秘められた過去」の真相は第1章からその一部が明かされ、途中から全体像もほぼ想像がつくようになる。その謎解きというよりは、事件の細部や、関わった人間の心情といったものが、驚くほど緻密な文体で描かれている。

構成的にも凝っていて、第1章と最終章が同じ場面の後半、前半という設定になっている。最後まで読み終えた読者は必ず、もう一度冒頭から読み返してみたくなり、あちこちに散りばめられた伏線に改めて気づくという仕掛けになっている。大変巧みなストーリーテラーというべきだろう。他の小説やエッセイも面白そうだ。

2月12日    ジョグ10キロ
2月13、14日 休養

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