『それでもボクはやってない』
2007年東宝。周防正行監督。allcinema の紹介文。
フリーターの金子徹平は、会社の面接に向かうため通勤ラッシュの電車に乗っていた。そして、乗換えの駅でホームに降り立った彼は女子中学生から痴漢行為を問いただされる。そのまま駅員によって駅事務所へ連れて行かれた徹平は、やがて警察へと引き渡される。警察署、そして検察庁での取り調べでも徹平は一貫して“何もやっていない”と訴え続けるが、そんな主張をまともに聞いてくれる者はいなかった。そして、徹平は具体的な証拠もないまま、ついに起訴され、法廷で全面的に争うことになるのだが…。(引用終わり)
「痴漢」「冤罪」などで検索すると、その恐ろしさを紹介したサイトが沢山出てくる。満員電車で通勤する日常にポッカリと空いた陥穽。そこに落ち込むとどれほど悲惨なことになるのか。この映画はそれを残酷なほどのリアリティで描き出す。
自分は法学部出身でありながら、実際の法廷は一度も見聞きしたことはないが、おそらく実物はこれにかなり近いと思わせる丁寧なつくりだ。被告人や証人が言い澱んだりするシーンは、もはや演出とは思えないくらいリアルだ。
ただ、警察や検察の強権的捜査の恐ろしさだけが強調されているのは、やや一面的と感じられた。本作のテーマからすると止むを得ないが、冤罪を生み出さないための(というか冤罪で自らの首を絞めないための)慎重さは彼らにも当然あるはずだし、そこも描写すればドラマとしての奥行が深まっただろう。被害者側の心情ももう少し掘り下げが必要だ。
裁判員制度がスタートしたり、いくつかの冤罪事件が大きく報道されたり、録画録音による取調べ可視化の動きが出たりして、刑事裁判に対する人々の関心も高まりつつあるが、刑事裁判の実情と問題点を広く世に知らしめることになった本作品の社会的意義は大きいと言えるだろう。
2月 9日 休養
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