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2014/11/19

一年半待て

松本清張の『一年半待て』という短篇推理小説がある(新潮文庫『張込み』所収)。妻が今で言うDVの夫を突発的に殺したものの、情状酌量で執行猶予付きの判決となった事件は、実はその結果を得るために用意周到に仕組まれた計画的犯罪だった▼まだ読んでいない読者のためにそれ以上の詳細は書けないが、一旦判決が確定した者に対しては、後に本人に不利な事実が判明しても再審は行わないとする「一事不再理」の規定まで踏まえた、完璧な犯行だった。その計画が半年単位で、一年半かけて実行されたというのがタイトルの由縁だ▼消費税率10%への引上げが一年半延期されることになったとの報道を見て、昭和32年に発表されたこの古い小説を思い出したわけだが、果たしてその一年半の間に経済情勢を好転させるための「周到な計画」はあるのだろうか▼最初の半年でここまで、次の半年でここまで、と小説の主人公は冷静沈着に夫殺しの計画を実行していった。同列に論じるのはどうかと思うが、国家財政や国民生活に多大の影響を及ぼす税制の運用には、それとは比較にならない「用意周到さ」が求められよう▼ところで、清張の小説は、折角実行した犯罪の目的そのものが問われる、意外な結末となっている。一年半延期された挙句、消費税率引上げの手段と目的がちぐはぐになる結末だけは、読まされたくないものだ。

以上は、朝日新聞「天声人語」の文体を真似て書いた「戯作」である。内容は必ずしも私の主張ではないことをお断りしておく。

11月19日 休養

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