『25年目の弦楽四重奏』
原題 A Late Quartet 。2012年米。ヤーロン・ジルバーマン監督脚本。公式サイトの紹介文。
すべては、チェリストの突然の引退宣言から始まった。結成25周年を迎えた世界的に有名な弦楽四重奏団<フーガ>が、記念の年の演奏会のリハーサルを始めたその時、チェリストが不治の病を宣告されたのだ。動揺したメンバーは、自分たちでさえ予期しなかった言動に走り始める。第1を弾きたいと言い出す第2ヴァイオリン、それを止めようとするヴィオラの妻。夫婦の亀裂が招いた、娘の衝撃的ともいえる反抗、そしてチェリストの秘めた決意――果たして、演奏会の幕は上がるのか――?(引用終わり)
オペラと違い、演奏会に「幕」はないが(笑)、それはともかく、実際に何十年という長期に亘って同じメンバーで活動を続ける弦楽四重奏団はいくつもあるが、生身の人間が演奏する以上、いずれメンバーの引退や交代は避けられない。
そこに現実の人生の難しさを重ね合わせ、なおかつ、全7楽章を通して演奏することが要求されるベートーヴェンの弦楽四重奏曲作品131をテーマ曲に据えた。巧みな構成である。
弦楽器を休みなく弾き続けて途中でチューニングがズレてきても、奏者は何とか対応していくしかないのと同じように、長い人生には様々な悩みや鬱屈が堆積していくけれども、それを抱えながら人は生きていくしかないし、いつかはそれを乗り越える力を持っている。
雪のセントラルパークをはじめとするニューヨークの冬景色が映画の内容によく合っている。また、チェリスト(クリストファー・ウォーケン)の亡き妻(アンネ・ゾフィー・フォン・オッター!)が生前歌っていた、コルンゴルトのオペラ「死の都」のマリエッタのアリアや、若い頃のチェリストのボロボロの演奏を聴いた巨匠パブロ・カザルスが、ずっと後になって彼に語った言葉がとても印象に残った。
それにしても、このウォーケンという俳優、どこか松重豊に似てるなあ。(笑)
10月2、3日 ジョグ10キロ
10月4日 LSD20キロ
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