『6時間後に君は死ぬ』
冒頭の表題作と、その5年後の事件を描いた最後の「3時間後に僕は死ぬ」が対をなし、その間に「時の魔法使い」「恋をしてはいけない日」「ドールハウスのダンサー」の3篇が置かれている。
いずれの作品も、その人の未来が「ビジョン」となって見えるという山葉圭史の予言がテーマとなっている(「ドールハウス…」では祖母が介在しているが)。本格派ミステリーの「6時間後…」と「3時間後…」に対して、間に置かれた3篇はいずれも若い女性を主人公とする、少しほろ苦いが心温まるファンタジー仕立てになっている。
自分の未来が分かってしまった人間はどう行動するのか。不幸な未来を力づくででも変えようとするのか。SFでよく取り上げられるテーマで、料理の仕方はいろいろあるだろうが、こういうハートウォーミングな物語もアリだなと思った。
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