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2014/06/02

北欧旅行記 ノルウェーその2

23日夕刻にベルゲンに到着。ホテル投宿後は自由時間となり、夕食はついていない。実にこの1点のみが、このツアーを選択した理由なのである。

なぜかと言えば、当地ベルゲンで毎年この時期に開催されるベルゲン国際フェスティバルの今年の呼び物である、レイフ・オヴェ・アンスネスの指揮・ピアノによるマーラー室内管弦楽団のコンサートが開催され、既にネットでチケットを手配済みだったからである。

19時半の公演開始に間に合うか気が気でなかったが、ほぼ予定時刻にホテルに到着し、会場までのタクシーの手配にも成功した。後は移動バスのトイレ休憩の間に買っておいたサンドイッチで簡単な夕食を済ませようという段取りだ。

その前に、コンサートから帰って部屋で一杯飲るためにビールを確保しておこう(だって、20時以降は売らないっていうからさ)としたが、部屋の冷蔵庫は空っぽである。近所にビールを売っているところはないかフロントに尋ねてみたら、自分のところで1本50クローネ(約960円)で売るからそれを買えという。

他で買って持ち込んで厄介なことになってもいけないので、またもや背に腹は代えられないと2本買うと申し出たら、係員が一旦引込んだ奥の方から「プシュ」と音がする。おいおい。Do not open it! と叫んだが、時既に遅し。澄ました顔をして栓の開いた小瓶2本を持って現れた。後で飲むつもりで買ったのにと抗議したら、栓を開けてから売る規則だからと譲らない。では王冠をくれと言ったら、それも出来ない決まりだという。

全く、何という国なのだろう。仕方ないので、サンドイッチをアテに飲んでしまうことにしたが、これほど苦いビールを飲んだ記憶はあまりない。しかも、1本千円!(泣)

気を取り直して、タクシーでコンサート会場であるグリークホールに向かう。2キロ弱、10分ほどで到着したが、料金が端数切り上げで何と210クローネ(約4000円)。ホテルが呼んだ正規の業者で、デジタルのメーターで表示された金額だから間違いはない。「そもそも、この国で『ボッタクリ』をするような業者は存在しない。なぜなら国家規模でボッタクリが行われているのだから」というのが、現地日本人ガイド氏の説明である。

それはともかく、ようやくグリークホールに到着。入口の辺りが鋭角の三角形に張り出した、斬新な外観の建物である。

Grieghallen

かなり早くに全席完売となっており、会場は全く空席のない盛況ぶりだった。それもその筈、本日の主役アンスネスはノルウェー出身で、世界的な活躍を続ける地元の英雄の凱旋公演のような趣があるからだ。

マーラー室内管は2006年秋に京都で聴いて以来である。世界各地で行っている「ベートーヴェン・ジャーニー」シリーズの第3回に当たる当夜のプログラムは、前半がストラヴィンスキーの「ダンバートン・オークス」(指揮者なし)、ノルウェー・ソリスト合唱団が加わり、シェーンベルクの「地球の平和 Friede auf Erden」作品13(指揮、Grete Pedersen)、アンスネスの指揮とピアノで、ベートーヴェンの「合唱幻想曲」作品80。休憩を挟んだ後半がベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」である。

アンスネスが登場する前の前半2曲は、合唱団の上手さ以外、ほとんど印象にない。長旅の疲れと高いビールの悪酔いのせいに違いないが(笑)、会場全体も心なしか大人しい印象だったのが、アンスネスが登場するや盛大な拍手が湧き起り、聴衆のテンションが一気に高まった様子が感じられた。

まずは「合唱幻想曲」。「戦争交響曲」と並んで、ベートーヴェンが残した駄作(と言って悪ければ、演奏される機会の少ない楽曲)のひとつに数えられる作品だけれども、意外に面白く聴けた。第9交響曲の原型となったと言われる作品で、最後に合唱が加わるところは、まさに第9の An die Freude のような解放感、人類愛を感じさせる。

最後の「皇帝」協奏曲はともすればピアノが技巧をひけらかそうとして、オーケストラの音楽と分離してしまいがちになるが、そこはさすがに「弾き振り」の良いところで、ピアノを取り囲むように配置されたオケが、ソリストと一体となって音楽を作っていく現場を目の当たりに出来た。むしろ、弾き振りで演奏することが、作曲者ベートーヴェンの本来の意図であったのではないかと感じるほどだった。ピアノパートが片手だけの箇所が結構あるのも、もしかするとそのせいかもしれない。

盛大なスタンディング・オベーションに応えて、アンコールとして同じ作曲家の「7つのバガテル」作品33の第1曲が演奏された。

爽やかな北欧の初夏にふさわしい演奏の余韻を味わいながら、ホテルまでぶらぶら歩いていると、西に向かって開いた港の向こうの水平線に、ようやく赤い夕陽が沈んでいくところだった。

コンサートだけで長くなってしまったので、続きはまた次回。(笑)

6月1日 LSD37キロ
6月2日 休養

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