TVドラマ『みをつくし料理帖』
「よもや忘八のこの私が、たかが料理でここまで心を揺さぶられるとは…」
ドラマのクライマックスで、主人公・澪が作った鱧料理に感嘆した吉原の女郎屋「翁屋」の主人・伝右衛門のセリフだが、これをもじって言えば、
「よもや野暮なこの私が、たかがドラマでここまで心を揺さぶられるとは…」
お恥ずかしながら、最後まで涙腺が緩みっぱなしだった。番組公式サイトはこちら。
髙田郁の原作はもちろんだが、何よりも北川景子の演技が素晴らしい。同じ時代ものの映画『花のあと』と比べると、格段の進歩を見せている。喜怒哀楽の表情がとても豊かで、小松原でなくとも、「お前さんのその顔は、いつ見ても飽きねぇな」と言いたくなる。
神戸出身の彼女は全篇「上方訛り」のセリフを与えられ、まさに水を得た魚の如く、言葉に思いを籠めることが出来ただろうし、また、上方から上京して業界の厳しさに直面しながら、健気にも成長を遂げていく澪の姿に、自分自身を重ねて投影していないはずはなく、現時点でこれ以上の澪を演じられる女優はいないだろう。
室井滋(おりょう)、大杉漣(種市)、片岡鶴太郎(清右衛門)ら、個性派ベテラン俳優陣が脇を固めていて、鶴太郎演じる毒舌の戯作者など、まるで原作から抜け出て来たかのようだ。
原作ではまだ3巻目ぐらいに当たり、かなり端折ってもあとドラマ2本分ぐらいは十分に作れそうだ。続篇が待たれるところである。
6月10日 ジョグ10キロ
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