『銀二貫』
髙田郁著。この作家は初めて。NHKの木曜時代劇で放映されることは知っていたが、先日、作品にも登場する高槻在住のある人から勧められたので読んでみた。アマゾンの紹介文。
大坂天満の寒天問屋、井川屋の主・和助は、仇討ちで父を亡くした鶴之輔を銀二貫で救う。大火で消失した天満宮再建のために、工面した大金だった。引きとられた少年は松吉と改め、商人としての厳しい躾と生活に耐えていく。番頭善次郎、丁稚梅吉、評判の料理人嘉平とその愛娘真帆ら人情厚い人々に支えられ、松吉は新たな寒天作りを志すが、その矢先またもや大火が大坂の町を焼き払い、真帆は顔半面に火傷を負い姿を消す…。(引用終わり)
辛い環境下でも必死に前を向き、健気に生きる登場人物たちにすっかり感情移入し、ついホロリとさせられてしまった。その濃やかな人情劇が、タイトルである「銀二貫」というキーワードによる大きな舞台回しの上で展開していく、その巧みなストーリー構成に舌を巻いた。
特に、第1章で登場した仇討ちの経緯が伏線となって、ずっと後の第10章で生き返る辺りは見事で、フランクの「交響曲ニ短調」などに見られる作曲技法である「循環形式」にも似て、作品全体を緊密に構成することに成功している。
TVドラマの方は今週が第4回となるが、松吉役の林遣都、和助役の津川雅彦、善次郎役の塩見三省、真帆(幼少期)役の芦田愛菜ら、関西出身の俳優が味のあるセリフと演技を見せてくれる。しかし、ミュートトランペット(?)によるエンディング曲は、まるでY新喜劇みたいで内容にそぐわない。あれを聞いてドタバタ系の喜劇と勘違いする人もいるのではないか。いや、Y新喜劇も大好きなのだけどね。(笑)
ところで、この作家のこれまでの代表作は『みをつくし料理帖』シリーズで、これまた好評を博しているらしい。早速図書館に予約を入れて読んでみることにした。また、北川景子主演でTVドラマ化もされ、今年6月に第2弾が放映予定というから、こちらも大いに楽しみだ。
4月27日 ジョグ10キロ
4月28日 LSD36キロ
4月29日 休養
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コメント
ドラマの方は原作からの期待が大きすぎたせいかなんだか今いち好きになれず、途中で見るのをやめてしまいました。
北欧の旅は楽しまれたでしょうか?
レポート楽しみにしています。
投稿: ともちゃん | 2014/05/29 14:41
ともちゃん
あの音楽と「ぐっさん犬」の語りが余計な気がしますね。
今は『みをつくし料理帖』の7巻目を読んでます。
来月8日放映のドラマの方も楽しみです。
北欧レポートはあまり期待せずに読んでやって下さい。
投稿: まこてぃん | 2014/05/29 17:02