« 2014年3月 | トップページ | 2014年5月 »

2014/04/29

『銀二貫』

Ginnikan髙田郁著。この作家は初めて。NHKの木曜時代劇で放映されることは知っていたが、先日、作品にも登場する高槻在住のある人から勧められたので読んでみた。アマゾンの紹介文。

大坂天満の寒天問屋、井川屋の主・和助は、仇討ちで父を亡くした鶴之輔を銀二貫で救う。大火で消失した天満宮再建のために、工面した大金だった。引きとられた少年は松吉と改め、商人としての厳しい躾と生活に耐えていく。番頭善次郎、丁稚梅吉、評判の料理人嘉平とその愛娘真帆ら人情厚い人々に支えられ、松吉は新たな寒天作りを志すが、その矢先またもや大火が大坂の町を焼き払い、真帆は顔半面に火傷を負い姿を消す…。(引用終わり)

辛い環境下でも必死に前を向き、健気に生きる登場人物たちにすっかり感情移入し、ついホロリとさせられてしまった。その濃やかな人情劇が、タイトルである「銀二貫」というキーワードによる大きな舞台回しの上で展開していく、その巧みなストーリー構成に舌を巻いた。

特に、第1章で登場した仇討ちの経緯が伏線となって、ずっと後の第10章で生き返る辺りは見事で、フランクの「交響曲ニ短調」などに見られる作曲技法である「循環形式」にも似て、作品全体を緊密に構成することに成功している。

TVドラマの方は今週が第4回となるが、松吉役の林遣都、和助役の津川雅彦、善次郎役の塩見三省、真帆(幼少期)役の芦田愛菜ら、関西出身の俳優が味のあるセリフと演技を見せてくれる。しかし、ミュートトランペット(?)によるエンディング曲は、まるでY新喜劇みたいで内容にそぐわない。あれを聞いてドタバタ系の喜劇と勘違いする人もいるのではないか。いや、Y新喜劇も大好きなのだけどね。(笑)

ところで、この作家のこれまでの代表作は『みをつくし料理帖』シリーズで、これまた好評を博しているらしい。早速図書館に予約を入れて読んでみることにした。また、北川景子主演でTVドラマ化もされ、今年6月に第2弾が放映予定というから、こちらも大いに楽しみだ。

4月27日 ジョグ10キロ
4月28日 LSD36キロ
4月29日 休養

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2014/04/27

『瞬 またたき』

Matataki北川景子主演、2010年作品。アマゾンの紹介文。

美大生の淳一と泉美は恋人同士。幸せな日々は、いつまでも続くはずだった―。
ある日、バイクで花見に出かけた帰り、トラックとの衝突事故に遭い、泉美だけが助かることに。愛する人を失くしただけでなく、そのショックから事故当時の記憶までも失ってしまう泉美。 なぜ自分だけが無傷で助かったのか・・・。あの時何が起こっていたのか・・・。
一人残された苦しみと闘いながらも、弁護士・真希子との出会いをきっかけに、愛する人との最期の記憶を取り戻そうと、“空白の10分間”という事故の真相を辿っていく。すると、そこには想像を絶するほどの事実と、極限状態の中で二人の本能的な想いが生んだ衝撃の“愛のカタチ”があった。そして・・・。(引用終わり)

正直、いい歳こいたオッサンが見る映画ではない(苦笑)。北川景子の演技に期待していたけれども、岡田将生演じる淳一との恋愛シーンは断片的な回想でしかなく、交通事故直後の生々しい事実を思い出すクライマックスシーンは、迫真の演技とは思うものの見るのがちょっと辛いほどだった。

それよりも、弁護士・真希子を演じた大塚寧々が、疎遠になっていた妹との和解を果たすサイドストーリーの方が胸を打ったし、彼女の方が女優としてやはり一枚上手だったと思わざるを得ない。

4月24日 LSD20キロ
4月25日 ジョグ10キロ
4月26日 休養

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014/04/24

『悪夢ちゃん』

Akumuchan北川景子つながり。日本テレビ系列で一昨年秋に放映された「コミカルで、摩訶不思議で、痛快なSF学園ファンタジー」。番組公式サイトの紹介文。

明恵小学校5年2組の担任を務める武戸井彩未(北川景子)は、明るくて生徒思いの理想的な先生。しかし、それは表向きの顔で、実は決して他人に心を開かず生徒たちにも愛情を持っていない極めて腹黒い変人だった。

そんな彩未の二面性に薄々気づいていた養護教諭の平島琴葉(優香)は、なんとか彩未の裏の顔を暴こうとチャンスを窺っていた。

ある日、5年2組に古藤結衣子(木村真那月)という生徒が転入してくる。結衣子は彩未に向かって突然「学校に来る途中にある、甲さん家のおばあさんが燃えちゃうの…助けて」と、謎めいた言葉を口にする。本気にしない彩未だったが、まもなく甲という名の老夫婦が家に火を点けて心中するという事件が起こる

以来、結衣子は不登校になり、彩未は結衣子の家を訪ねることに。そこで彩未を出迎えたのは、彩未が自分の夢の中で創り上げた理想の“夢王子”とそっくりな志岐貴(GACKT)だった。志岐は、結衣子の祖父で大学教授の古藤万之介(小日向文世)の助手だった。

万之助は、結衣子には悲惨な未来を予知夢として見る能力があるのだと語る。そして、次に結衣子が見た悪夢は、彩未が生徒を殺す夢だった…。(第1話、引用終わり)

予知夢と言えば、この前に観た『マイノリティ・リポート』を思い出す。未来を正確に予言する夢など現実にはありえないと思うが、SFにとっては恰好の題材に違いない。このドラマでは他人の無意識と繋がることが出来る少女が見る「悪夢」が、現実のものとなって起こってしまうという設定で、予知される数々の事件に担任の彩未先生と共に立ち向かっていく。

1話完結のそれぞれのエピソードと並行する形で、彩未先生の封印された過去が次第に明らかになり、結衣子や万之介、志岐らとの因縁浅からぬ関係が浮かび上がってくるという、大きなストーリーの方も動いていく。

悪夢という以上はグロテスクなCG映像が出てくる箇所もあるが、彩未先生と同僚教師らとのコミカルな掛け合いもあり、娯楽作品として楽しめる。腹黒い変人教師というクセのある役柄を演じた北川景子は、本作で女優としての幅を広げた…のではないか(笑)。第1話で、家に帰って寝る直前、すっぴんに腹巻姿で現れた時は心底びっくりした。

ところで、それが夢であることを意識して見る夢のことを「明晰夢」と言い、主人公は時々それを見るということになっているが、実は自分もまれに経験することがある。次はこんな展開になるのではないかと思うとその通りになる。これまでの最高傑作(?)は、生駒山の大噴火である。まるでCGのように安っぽい火砕流や建物の倒壊風景は、自分自身の想像力の限界そのもので、「これは夢なのだ」と明確に分かっていた。

4月21日 休養
4月22日 ジョグ10キロ
4月23日 休養

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014/04/21

今週、娘が家を出ます。

何年か前、似たようなタイトルの相談が某掲示板に寄せられて話題になり、本やTVドラマにまでなったことがあった。それほど深刻な問題ではないけれども、これまで大学にも会社にもずっと家から通っていた娘が、何を思ったか一人暮らしを始めると言い出した。家内も結婚前にそんなことを考えた時期があったというから血は争えない。

さてはオヤジがずっと家に居るようになって鬱陶しくなったからかと思いきや、「昼間は会社に行ってるから関係ないし」と、そもそも父親などほとんど眼中にないのだ(泣)。いい歳になって身の回りのことがほとんど何も出来ないことに危機感を抱き、生活力をつけたくなったというのが本当の理由のようだ。

まずは今の環境で努力するところから始めてはどうかと意見はしてみたものの、言い出したら聞かない性格は父譲りであるから如何ともしがたい。子供の希望はなるべく叶えてやるのが親の務め。敢えて反対はしないが、準備から費用負担まで全て自己責任でやるという条件で許すことにした。

ただし、こちらは隠居の身。金は出さないが手伝いぐらいはするということで、昨日引越しを前にした荷物運びを手伝った。大阪市内のまだ新しいワンルームマンションは、狭いながらもなかなか快適そうである。入居者はやはり一人住まいの若い女性が多いようで、ずっと家にいる娘の方が特殊なのかという気さえしてきた。

新たな人生の門出。まあ、せいぜい頑張れよ!

Ts3r0003_3

4月18日 休養
4月19日 ジョグ10キロ
4月20日 休養

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2014/04/17

3Dがダメなら4K?

この前近所の家電量販店に行った時、何気なく覗いたテレビ売り場に巨大な4Kテレビなるものが陳列されていて、目玉が飛び出るような金額の値札がついていた。こんなもの買う人がいるのかと思いながら近づいてみると、正確には「4Kテレビ」ではなく、「4K対応テレビ」とある。

なぜかと言えば、「この商品には4K放送用のチューナーはついておりません」からである。今年夏にも4Kの試験放送が始まるらしいが、その放送規格が現時点でまだ決定していないため、チューナーを準備することが出来ないようなのだ。

更に調べてみると、その試験放送も地デジなどでは容量が足りないため、通信衛星を使ったCS放送で行われる見通しだそうで、大枚はたいて「4K対応テレビ」を買った人が4K放送を見ようと思ったら、専用のチューナーとパラボラアンテナも買って設置しなければならないのだ。ひどい話である。

現在の地デジ放送でもアナログ放送とは月とスッポンほどの画質の違いがあるというのに、そこまでして4Kを見たいという人がどれだけいるのだろう。以前、3Dテレビについて書いたのと同じことになりそうな気がしてならない。

ところで、4Kに限らず、「新発売のテレビではこんなにキレイに映ります」という映像比較のCMをよくやるが、それを映しているテレビは従来のものであるという矛盾は、ほとんどジョークとしか言いようがない。

4月16日 休養
4月17日 ジョグ4K、いや10K(笑)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014/04/15

microSDカード

携帯やデジカメにはほとんど関心がない。「携帯・デジカメ」カテゴリーの投稿はこれまで6件しかない。塗装の剥げかけたガラケーを何の不自由も感じずに使っているが、唯一、携帯で撮った写真をブログにアップするときなど、その都度パソコンにメールで送っていたのが面倒と言えば面倒だった。

デジカメならSDカードをPCに差せば造作はないのだが、携帯でも同じことが出来るということに最近になって気づいた。それぐらいの「携帯音痴」なのである(苦笑)。近所の家電量販店の特売で4GBのものが数百円で入手できた。

Pap_0000_3

付属のアダプタを使えばパソコンのスロットに収まり、そのままファイルを読み込めるので便利だ。しかし、micro というだけあってメモリーカード本体の小さいこと! メガネを外して見るのは当然としても、自分の指では携帯のスロットへの抜き差しが一苦労である。そのうちベキッと折れてしまわないか心配だ。

4月13日 休養
4月14日 LSD43キロ
4月15日 休養

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2014/04/12

談山神社の薄墨桜

近くに住んでいながらまだ見たことがなかったので、昨日自宅から走って見に行ってきた。江戸彼岸の古木で樹齢600年と言われ、桜井市の天然記念物に指定されている。散り際に花びらが薄墨色になるのが名前の由来だが、鼓の材料にされることから「小つづみ桜」という別称もある。

Ts3r0006

談山神社から桜井方面に抜ける道路沿いの桜も満開を迎えていた。

Ts3r0007

復路の明日香村細川で道標を発見。過去何度も通っていながら初めて気が付いた。「右毘沙門天 左たふのミ祢道」、裏側には「すぐ をかてら」とある。慶應二年の銘がある比較的新しいものだが、鄙びた山里にひっそり佇む姿は風格がある。

Ts3r0009_2

4月10日 休養
4月11日 LSD18キロ
4月12日 休養

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014/04/09

XPired!

Ts3r0001ウィンドウズXPのサポートが今日の午後4時で終了した。半端な時間だなと思ったら、アメリカ西海岸の現地時間で8日午後12時ということだったのだ。

うちにあったXPのパソコン2台を処分したことは前に書いたが、実はもう1台、XPのノートパソコンがある。これにはスタンドアローンで使えるあるソフトが入っていて、今後も使うつもりでいる。

午後3時過ぎに最後のウィンドウズ・アップデートを終えた。今後はもちろんネットワークには繋がず、年に1、2回必要となるデータ出力時は、その都度新品のUSBメモリーを差して行うつもりである。これで問題は生じないはずだが、詳しい方からご教示いただければ幸いである。

ところで、記事のタイトルは「期限が切れた」という意味の expired に掛けた。我ながら秀逸な造語だと思うのだが…。

4月7日 ジョグ10キロ
4月8日 休養
4月9日 ジョグ10キロ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014/04/06

『謎解きはディナーのあとで』

Dinner_7何回も書いているが、テレビドラマというものをほとんど観ない人間なので、これも題名ぐらいしか知らなかったのだが、前に観た『花のあと』という映画で北川景子という女優を知って、全く違う役柄のドラマを観てみようという気になった。TV放映の第1話から最終話までと、さらに昨年封切の映画版も観終えたところである。

いや、実に面白い。ミステリーとしての謎解きの面白さに加えて、櫻井翔演じる毒舌執事と北川景子演じる麗子お嬢様のコミカルな掛け合いがとても楽しい。脇役にもベテラン俳優陣を起用していて、ドラマとしての全体の仕上がりにも隙がない。ただ、第9話だったか、北川景子のセリフで「(アリバイが)あるって」という箇所が関西アクセントになっていたのはご愛嬌だろう。彼女は神戸出身なのだ。

4月4日 休養
4月5日 LSD35キロ
4月6日 休養

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014/04/03

下ツ道(中街道)を走る

気候が良くなってきたので久々の街道走りに出かけた。今回は藤原京と平城京を結ぶ古代の幹線道路下ツ道(近世の中街道)である。奈良県発行のガイドマップを手に大和西大寺駅からスタートし、まずは下ツ道終点の平城京朱雀門へ。

140402_102201_2

朱雀門から平城京南端の羅城門までは朱雀大路という大通りだったそうだが、史跡として整備された朱雀門から200メートルほどを除けば、その痕跡は今日全く失われているため、ガイドマップに従って秋篠川沿いを下っていく。堤防は自転車道として整備され、満開の桜が咲き誇っている。

140402_104501

間もなく大和郡山市に入り、「奈良口」という交差点を渡ると旧街道らしい雰囲気になってきた。この日最初の道標を発見。すぐ(直進の意)=北が高野山、大峯山などとなっていて、180度反対方向を向いている。

140402_110201

この交差点の東、秋篠川を渡る辺りに羅城門があったそうだが、高架道路の橋脚に案内板があるだけだった。

140402_111101

さらに南進すると稗田町という環濠集落に入る。外敵を防ぐため村の周囲に濠を巡らせたもので、ほぼ完全な形で残されている。

140402_113601

集落西端に道標を発見。これも、すぐ=東が大峯山上などとなっていて、90度向きが違っている。銘は天保十□□年十二月吉日、郡山日野出講中とある。

140402_113801

コンビニで昼食を摂った後、もうひとつの環濠集落番条町に入ると、中世にタイムスリップしたような町並みが見られた。

140402_121201

国道25号を渡り西名阪道の下を潜ると、そこから二階堂駅付近まで、道は大和郡山市と天理市との境界線となっている。天理市を抜け田原本町に入って間もなく、路傍に打ち捨てられたような道標を発見。「すぐ よしの高野道」とあるらしいが、半分ほど埋没してしまっている。銘は「天保三(?)年」とある。

140402_130901_3

田原本の市街地に入ってすぐの安養寺門前の道標。「右 京なら郡山 左 法里うし大坂さかい道」とある。この他にも田原本町内では何基か道標を発見した。町中を何度も曲がるルートが中世の街道筋だったためだろう。

140402_132401

町役場近くの満開の桜。

140402_134201

往時の主要交差点と思しき辻に建つ古い屋敷の前には、お決まりの道標と道路元標があった。道標は天保十年の刻銘があり、町役場による詳細な説明文が掲示されている。

140402_140201

その先には同様の説明文付きのものが1基、その近くには説明文のないものがもう1基あったが、どういう違いがあるのかよく分からなかった。その他、こんなモダンなものも…。

140402_134901

これはごく最近地元のライオンズクラブが再建したもののようで、往時はこんな風に文字が黒く塗られていたらしいのを初めて知った。でも、「すぐ 大峰山よし野かう野」の下に「道」とあったのでは?

間もなく橿原市に入り、何度か車で通ったことのある道に入ったので、ここでガイドマップはお役御免。中和幹線を渡る前の米川右岸に見事な桜並木があった。桜の木一本一本に「25号」などと番号札を提げているのが面白い。

140402_145001

わざわざ奈良から下ツ道(中街道)を辿ってきたが、何のことはない、自宅から近い八木町に入った辺りが実は旧街道の風情が一番残っていた。

140402_150301_3

桜だって、うちの家の前の桜並木はなかなか大したものなのだと再発見した、春の一日であった。

140402_154101_2

4月1日 休養
4月2日 LSD25キロ
4月3日 休養

| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2014年3月 | トップページ | 2014年5月 »