『さよならドビュッシー』
遥のピアノ教師を買って出る岬洋介役の清塚信也はピアニストが本職で、本作が俳優デビューとなったそうだが、リストの超絶技巧練習曲を弾き切ってそのままセリフに移る箇所のリアリティは、この人にしか為しえないところであろう。
橋本愛は人形のように美しいけれども、演技がやや表面的というのか、生身の人間の感情の幅や襞といったものを出せればもっと良いのにと思う。
最後のどんでん返しの仕掛けは、「いくら何でもそれはありえないだろう」と思ってしまったが、それを踏まえて主人公が過去を回想する映像は、彼女の弾くドビュッシーの「アラベスク」「月の光」をバックに、とても美しく、また切なかった。
タイトルロールで流れる泉沙世子「境界線」のメロディが今作でも耳に残った。
| 固定リンク
« 『カラスの親指』 | トップページ | 『熔ける』 »
この記事へのコメントは終了しました。
コメント