『東京難民』
福澤徹三著。この作家は初めて。疋田智氏のメルマガで紹介されていて興味を持った。カバーの紹介文。
時枝修は、東京郊外にある私立大学の三年生。夏休み明けにクラス担任から告げられたのは、学費未納で除籍になるという寝耳に水の事実だった。北九州の実家では、借金を抱えた両親が失踪。貯金はないに等しい。アルバイトを転々とする中、家賃滞納で住居も追い出されてしまう。追いつめられる修。だが、それはまだ、底なしの貧困と孤独への入口に過ぎなかった―。
行き場を失った修は、ホストとして働く決意をする。大金が飛び交うきらびやかな世界。だが、そこは、男と女の色と欲がせめぎあう凄まじい格差社会だった。必死で自分の居場所を作ろうとする彼に、さらに大きなトラブルがふりかかる! 流転を続ける修に、安住の地は見つかるのか? 索漠とした大都会の底辺であがく若者の姿をリアルに描く、異色青春小説の傑作。
(引用終わり)
大都会東京で突然生活基盤を奪われた大学生が、ついにはホームレスにまで転落していく過程を丹念に、かつリアリティいっぱいに描く。コワイもの見たさというのか、「他人の不幸は蜜の味」というのか、ページをめくる手が止まらない経験は久々だ。
肝心なところで脇が甘く、お人よしな主人公・修には感情移入できなかったけれども、東京で一人暮らしする大学生の息子を持つ身としては、ひょっとすると他人事ではない気がするからこその面白さだった。
なお、この小説は最近映画化されて劇場公開中のようだ。内容をかなり切り詰めないと映画の尺には収まらず、監督の佐々部清がその苦心譚を文庫本の「解説」に書いている。
3月29日 ジョグ10キロ
3月30日 休養
3月31日 ジョグ10キロ
月間走行 100キロ(笑)
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