『刑事の絆』
堂場瞬一著。文春文庫の「アナザーフェイス」シリーズ『凍る炎』の続篇だが、こちらはハルキ文庫の「警視庁追跡捜査係」シリーズということで、出版社を跨った2つのシリーズのコラボ作品である。カバーの紹介文。
捜査一課・追跡捜査係の沖田大輝とかつて強行犯係で同僚だった、刑事総務課・大友鉄が最大の危機に見舞われた。ベンチャー企業が開発した、次世代エネルギー資源を巡る国際規模の策謀に巻き込まれたのである。仲間の身を案じた沖田は、追跡捜査係に協力依頼がないにもかかわらず、同係の西川と共に大友が手がけてきた事件を洗い始める。解決されたはずの事件の闇に名コンビが迫る! 「アナザーフェイス」シリーズと異例のコラボレーションで魅せる、大好評書き下ろし警察小説。(引用終わり)
『凍る炎』の最後で大友鉄が何者かに狙撃されたところから、本書のストーリーが展開する。警察は「自分たちは体を張って社会の治安を守っている」という意識がとても強く、身内、つまり警察官を死傷させる犯罪には組織の総力を挙げて、文字通り死力を尽くして犯人検挙に邁進する。
本書では追跡捜査係の西川・沖田コンビはもちろん、まるで警視庁全体が大友の敵(かたき)を討つという目的に向かって団結したかのようだ。大友の人徳ということもあるだろうが、そうした組織の一体感こそが原動力になったのであろう。最後のところで西川がこんなセリフを口にする。
…今時流行らないかもしれないけど、俺は嫌いじゃない。そういう一体感を感じられる瞬間があるから、刑事をやっているようなものだ。(422頁)
大友狙撃事件の真相は大体予想出来るとおりの結末を迎えるが、『凍る炎』同様、緊迫感溢れる犯人追跡シーンも盛り込まれ、これ1冊でも十分楽しめる作品になっている。
1月31日 ジョグ10キロ
月間走行 292キロ
2月 1日 LSD20キロ
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