『去年の冬、きみと別れ』
ライターの「僕」は、ある猟奇殺人事件の被告に面会に行く。彼は、二人の女性を殺した容疑で逮捕され、死刑判決を受けていた。調べを進めるほど、事件の異様さにのみ込まれていく「僕」。そもそも、彼はなぜ事件を起こしたのか? それは本当に殺人だったのか? 何かを隠し続ける被告、男の人生を破滅に導いてしまう被告の姉、大切な誰かを失くした人たちが群がる人形師。それぞれの狂気が暴走し、真相は迷宮入りするかに思われた。だが―。日本と世界を震撼させた著者が紡ぐ、戦慄のミステリー!(引用終わり)
あまり詳しく書くわけにはいかないが、「僕」の視点で進行する本筋のストーリーの合間合間に、「資料」という形で何者かの手紙なり手記が挿入されるという構成になっている。
これが曲者で、それぞれの「資料」は一体誰が誰に宛てたものか、段々分からなくなってくる。そこは少しアンフェアな感じはしたが、大きなトリックを伏せたまま最後まで読ませるためには仕方ないところか。
しかし、この作品の真のテーマは、人間が抱く愛憎の念の業の深さといったようなことであると思う。最近、ストーカー被害のニュースをよく見聞きするが、ときに殺人にまで至る加害者の心理は、善悪の判断すら失わしめるものなのだろう。
11月4日 休養
11月5~7日 ジョグ10キロ
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