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2013/08/12

『レンタネコ』

51dglo9zsll__sl500_aa300_荻上直子監督作品の2本目は昨年5月封切の最新作である。英語タイトルは Rent-a-Cat で、レンタカーと1字違いというのが面白い。アマゾンの紹介文。

都会の一隅にある、平屋の日本家屋。幼い頃から猫に好かれていたサヨコ(市川実日子)は、たくさんの猫たちと暮らしながら、心寂しい人たちと猫を引き合わせていきます。
サヨコから猫を借りるのは年齢も境遇も異なる人々。 夫と愛猫に先立たれた婦人(草村礼子)、単身赴任中の中年男(光石研)、自分の存在意義に疑問を感じるレンタカー屋の受付嬢(山田真歩)、サヨコと浅からぬ因縁を持ち、今はとある組織から追われる男(田中圭)。そして謎の老人(小林克也)の存在。
彼らの心の隙間を埋める瞬間に立ち会いながら、サヨコにも次第に変化が訪れていきます。「レンターネコ、ネコ、ネコ。」都会の片隅でひっそりと営まれる1軒のレンタネコ屋が、今日もあなたに“レンタネコ"を届けます。(引用終わり)

市川実日子が猫を乗せたリアカーを引いて多摩川の河川敷を歩きながら、独特の節回しで「レンターネコ。ネコ、ネコ」とメガホンで通行人に呼びかける。現実にはありそうもない光景なのに、不思議なリアリティを感じてしまうところが、まさに「オギガミワールド」といったところだろう。

「ありそうもない」と言えば、猫1匹レンタルの前金が千円で、一体主人公はどうやって生活しているのだろうか。株のデイトレーダー、カリスマ占い師、テレビCM作曲家と、いろんな本業を持っているらしいのだが、どれも文字通り「猫の手を借りた」商売で、冗談としか思えない。

しかし、そんな詮索はどうでもいい。唯一の近親者だったと思われる祖母が死んで、心に大きな「穴ぼこ」を抱えた主人公は、同じように心の寂しい人に猫をレンタルすることで、自らも癒されていくのである。

多数登場する猫たちの表情や仕草を見ているだけで癒されるし、何より独特な存在感のある市川実日子が、とてもいい味を出している。

8月10日 休養
8月11日 LSD20キロ
8月12日 ジョグ10キロ

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