『アレグリアとは仕事はできない』
津村記久子著。コピー機の一部と思われる、いかにも無機的なカバー写真は、本書の内容を暗示していて秀逸である。版元紹介文。
コピー機が憎い! どうしてこんなに使えない機械を入れたんだ!? OLの日常のいらだちは思いもがけない方向に発展し……。書き下し「地下鉄の叙事詩」も収録。(引用終わり)
原題「コピー機が憎い‼」を改題した表題作は、最新鋭機のはずの「アレグリア」の気まぐれに悩まされるOLの苦闘を描いていて、どこの職場にもいる問題社員をカリカチュア化しているようでもある。
「彼女」(アレグリアは女性名なのだろう)の「素性」は後半で明かされるが、なるほどそういうこともあるかなと妙に腑に落ちた。
見知らぬ同士が狭い空間に閉じ込められる不快感をこれでもかと抉った「地下鉄の叙事詩」は、読み進むほどに気分が悪くなるが、それが作品の狙いだとすれば大成功なのだろう。
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