『人生が用意するもの』
川上未映子のエッセイ集。津村記久子らと朝日新聞夕刊にリレー形式で連載していたエッセイが面白かったので読んでみた。ちなみに夫君ともども芥川賞作家である。版元紹介。
ヨロコビも怒りも、震災も妊娠も、笑いも平安も、静かに忍び寄ってくるから。「世界のみんなが気になるところ」を論じ、あの三月の記憶を語り、日常の落し穴に微苦笑しながら、人生のきらめく欠片を掬い取る。いま最も注目される作家が、奔放自在・融通無碍・愛嬌満点な感性と日本語を駆使して、読者の意表を突きまくる最新エッセイ六十余篇。日本経済新聞&週刊新潮好評連載、待望の単行本化。(引用終わり)
どれも2頁半ほどの短いエッセイで肩が凝らない内容が多い。時折大阪弁が混じる独特の話口調で書かれていて読点なしに延々と続く文章を読んでいると大阪のお姐さんの長広舌を聞いているような錯覚に陥るんである。(伝染った・笑)
死ぬのが怖かった子供時代、そのことを恐る恐る作文に書いたら担任の先生が拍手で褒めてくれ、そのことで言葉の持つ力に目覚めて、将来の作家を生むきっかけになったという「あの日、言葉の大海原に」の一篇は大変示唆に富んでいる。
ところで、大阪弁の「いかれこれ」、知らなかったなあ。
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