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2012/09/29

『カソウスキの行方』

2145371_5津村記久子著。「カソウスキ」とはロシア人の名前か何かと思っていたら、「仮想好き」だった。この人のタイトルは一捻り効いている。版元の紹介文。

「恋愛はすごいなあおい」そう口に出して言ってみるが、棒読みだった。――<本文より>
「アラサー」「独身」「恋人なし」の“してるつもり恋愛”はどこへいく? 『ポトスライムの舟』著者の会心作

不倫バカップルのせいで、郊外の倉庫に左遷されたイリエ。28歳、独身、彼氏なし。やりきれない毎日から逃れるため、同僚の森川を好きになったと仮定してみる。でも本当は、恋愛がしたいわけじゃない。強がっているわけでもない。奇妙な「仮想好き(カソウスキ)」が迎える結末は――。芥川賞作家が贈る、恋愛“しない”小説。(引用終わり)

表題作では主人公が自身をパソコンに見立て、生活というハードディスクの空き容量を仮想メモリにあてて、人生への意欲を仮想的に満たそうと決意したところで、同僚の森川を好きになったということを仮定してみる。

一目惚れした男の友人と夜10時まで限定の交際を続ける「Everyday I Write A Book」、交際相手の行動を数値化し、お互いの不義理の回数を合致させようとする「花婿のハムラビ法典」。

決して、恋愛「しない」というわけではないが、どこか覚めたというか、日常生活から遊離することのない男女関係は、かなり現実味があって、どこかの誰かが実際の経験を語るのを聞いているかのような感覚で読めた。

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2012/09/23

カナダ、遠いか近いか

息子がカナダに旅立って約1カ月。何とか生活できているようだが、出発前のドタバタと手荷物の制限で持てなかった品々を先日国際郵便EMSで送ってやった。通関の書類作成が結構手間だったが無事に届いたようだ。1万円以上もした料金は別納扱いにしたので、手持ちの古い記念切手の処分にもなった。

その到着確認はスカイプの電話で。渡航後初めて本人の肉声を聞いて、親としては少しだけ安心した。音声も鮮明、タイムラグもほとんどない。10分ほども「国際電話」して料金はまったくのタダである。KDDIだと幾ら取られることだろう。いや、本当に有難い世の中になったものだ。

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2012/09/17

完全休養宣言

右脚ふくらはぎの筋肉痛(多分肉離れ)のため、走れなくなってしまった。

先月下旬からふくらはぎに違和感を感じていて、今月初め、いつものように10キロジョグに行ったら、あと1キロ辺りで急に痛みが出て立ち止まってしまった。

歩くには支障なく、先週末は休養してほぼ回復したように思えたので、一昨日半月ぶりにジョグに出かけたら、今度は7キロ地点で再発してしまった。

これまで故障らしい故障をしたことがないので、大変ショックである。幸か不幸か今年はレースに出ることも叶わないので、年内一杯は完全休養して回復を図り、年が明けたら一からスタートすることにしたい。

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2012/09/08

『とにかくうちに帰ります』

51oj3codal__sl500_aa300__2津村記久子著。版元紹介文。

職場のおじさんに文房具を返してもらえない人。微妙な成績のフィギュアスケート選手を応援する人。そして、豪雨で交通手段を失った日、長い長い橋をわたって家に向かう人――。それぞれの日々の悲哀と矜持、小さなぶつかり合いと結びつきを丹念に描く、芥川賞作家の最新小説集。働き、悩み、歩き続ける人たちのための六篇。(引用終わり)

前半が連作短篇「職場の作法」、後半が表題作という構成。大阪南港がモデルと思われる島から大雨の中を歩いて帰宅する表題作も良かったが、アルゼンチン代表のフィギュアスケート選手のことが気になって仕方なくなる「バリローチェのフアン・カルロス・モリーナ」の何とも言えない脱力感が心地よかった。

前に読んだ『ポトスライムの舟』もそうだったが、普通の人が普通に過ごす日々の中での、ちょっとした感情の襞のようなものを、うまく掬い上げて作品に仕立ててしまう力量は大したものだ。

何でもない出来事をやたらに脚色し、物語にしてしまうのが今日の(特にマスコミの)風潮だとすれば、彼女の作風はこれと逆を行く、言わば「アンチストーリー」をテーマとしているように思われる。そんな言葉があるのかどうか知らないけど。

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2012/09/01

いざカナダへ

息子が1年間(正確には約10カ月だが)カナダに留学することになり、関西空港から旅立って行った。恒例の出発直前のドタバタで周りはてんやわんやの大騒ぎだったが、本人は至ってのんびりしたもの。大物なのか鈍感なのか知らないが。(笑)

関空の滑走路北端にある展望ホールなる施設に初めて入り、彼の乗ったデルタ機の離陸を見送った。夏季は南向き離着陸なので、離陸前の機体が目の前を通って滑走路に近づいていく。あっという間に飛び立って、数分後には米粒ほどの機影となってしまった。

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東京に行って既に1年半も離れて暮らしていたので、ちょっと遠くなったねぐらいの感覚しか今はないが、おいそれと簡単に行き来できなくなったのは辛いところだ。

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