『沈黙の町で』
奥田英朗の最新作。読み通すのに1年以上かかった。著者初の新聞連載小説だったからだ(笑)。アサヒドットコムの紹介文。
小さな町で起きた1人の中学生の死をめぐり、町にひろがる波紋を描く。被害者や加害者とされた子の家族、学校、警察などさまざまな視点から描き出される群像小説で、地方都市の精神風土に迫る。(引用終わり)
著者お得意の群像劇で、様々な関係者の心理を丹念に抉り出すことで、小さな町で起きた事件が広げる波紋を、重層的立体的に浮かび上がらせる筆力は見事である。中学生の死の直後から始まった物語が、最終回で事件発生の瞬間に立ち戻り、その真相が明かされる構成も素晴らしい。
ところで、この後の新連載は筒井康隆の「聖痕」である。久々の長篇が楽しみだ。
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