『幻影の書』
版元の書評やアマゾンの感想文でも色々と述べられているが、この長篇作品の全体構造を記述するのは容易なことではない。主人公ジンマーの回想の中で、失踪した喜劇俳優ヘクター・マンの奇想天外な生涯が述べられ、さらには失踪後のヘクターが人知れず製作した映画のストーリーが重層的に絡んでくる。
詳細な作品分析は専門家の手に委ねるとしても、次の展開が全く予想できないストーリーテリングの上手さに惹きつけられてしまう。柴田元幸氏の訳文は句読点が少なく、一見読みづらい印象を受けるが、日本語として大変こなれていて大変感心させられた。
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