『関東大震災』
広範かつ綿密な取材によって未曾有の大災害の全貌を記録しようという、ある意味途方もない企図の作品である。本書の中にも出てくるが、震災直後は報道、通信の機能が全く途絶した上に、無責任な流言飛語が広まり、この大災害の正確な記録は簡単な仕事ではなかったと思う。
ましてや、それを小説形式にして「読ませる」作品に仕上げるというのは、吉村氏以外にはなしえなかった力技であろうと思う。東大地震学教室の大森房吉教授と今村明恒助教授の確執も、学問の社会への影響という重いテーマを抱えていて大変興味深かった。
| 固定リンク
« 周到な伏線? | トップページ | 県営ランステ計画 »
この記事へのコメントは終了しました。
コメント