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2011/10/08

『関東大震災』

51t8a57k5yl__ss500_吉村昭著。今回の東日本大震災から遡ること88年前の悲劇の記録である。版元紹介文。

大正12年9月1日、午前11時58分、大激震が関東地方を襲った。建物の倒壊、直後に発生した大火災は東京・横浜を包囲し、夥しい死者を出した。さらに、未曽有の天災は人心の混乱を呼び、様々な流言が飛び交って深刻な社会事件を誘発していく―。二十万の命を奪った大災害を克明に描きだした菊池寛賞受賞作。(引用終わり)

10月7日 ジョグ10キロ
10月8日 ジョグ10キロ

広範かつ綿密な取材によって未曾有の大災害の全貌を記録しようという、ある意味途方もない企図の作品である。本書の中にも出てくるが、震災直後は報道、通信の機能が全く途絶した上に、無責任な流言飛語が広まり、この大災害の正確な記録は簡単な仕事ではなかったと思う。

ましてや、それを小説形式にして「読ませる」作品に仕上げるというのは、吉村氏以外にはなしえなかった力技であろうと思う。東大地震学教室の大森房吉教授と今村明恒助教授の確執も、学問の社会への影響という重いテーマを抱えていて大変興味深かった。

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