『八月からの手紙』
紹介文では何のことか分かりにくい。戦後間もない頃の新リーグ構想に関わった日系二世の投手矢尾健太郎と、アメリカのニグロリーグ伝説の名スラッガー、ジョン・ギブソンの熱き魂の交流がテーマと言えばいいだろうか。それでも分かりにくいか。
367ページの長篇にもかかわらず、この作家独特の「ど真ん中ストレート」のストーリー運びでぐいぐい読ませる。しかし、最後まであまりに直線的な展開に、もう少し紆余曲折が欲しかったような気がする。
「後書き」では、実在の人物、球団をモデルにした物語のように書かれているが、「日本リーグ」なる新リーグ構想のことは、いくら調べても何も出てこないので、おそらくは著者の創作と思われる。しかし、偶然ながら数日前、某TVでアリゾナかどこかの日系人収容所に野球場を作った人のことが紹介されていたので、矢尾のモデルは実在していたのだろう。
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