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2011/06/20

『三陸海岸大津波』

9784167169404_2吉村昭は久しぶり。1970年の作品だが、今回の震災で再び注目を集め、版を重ねている。最近購入した文春文庫は第11刷であった。アマゾンの紹介文。

明治29年、昭和8年、そして昭和35年。青森・岩手・宮城の三県にわたる三陸沿岸は三たび大津波に襲われ、人々に悲劇をもたらした。大津波はどのようにやってきたか、生死を分けたのは何だったのか―前兆、被害、救援の様子を体験者の貴重な証言をもとに再現した震撼の書。 (引用終わり)

6月19日 LSD20キロ
6月20日 ジョグ10キロ

吉村氏の作品は「記録文学」と形容されることが多いが、この作品はどちらかと言えば「記録」の方に重点が置かれている。いつもながら丹念な取材を積み重ねて得られた事実を、極力感情移入を排して読者に提示している。

40年前の本書に教えられることは多い。有史以来、三陸海岸がたびたび津波の被害に見舞われてきたこと。昭和35年のチリ地震まで、太平洋を挟んだ南米の地震で日本に津波が来ると誰も予想していなかったこと。

本書の最後で、吉村氏は過去の津波を教訓に築かれた宮古市田老地区の巨大な防潮堤を紹介している。それでも、「自然は、人間の想像をはるかに越えた姿をみせる」として、その効用に限界があることを指摘した吉村氏であったが、防潮堤そのものを破壊した今回の大津波の凄まじさまでは予見できなかっただろう。

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