« さらばチェリー | トップページ | 30年ぶりの登場 »

2011/05/15

『奪取』

510h05vme0l__sl160_aa160_真保裕一著。前回の短篇集がやや食い足りなかったので、お得意の長篇を読んでみた。四六判二段組524頁の超大作だが、全く長さを感じさせない迫力はさすが。アマゾンの紹介文。

1260万円。友人の雅人がヤクザの街金にはめられて作った借金を返すため、大胆な偽札作りを2人で実行しようとする道郎・22歳。パソコンや機械に詳しい彼ならではのアイデアで、大金入手まであと一歩と迫ったが…。日本推理作家協会賞と山本周五郎賞をW受賞した、涙と笑いの傑作長編サスペンス!

ヤクザの追跡を辛うじて逃れた道郎は、名前を変え復讐に挑む。だがその矛先は、さらなる強大な敵へと向かい、より完璧な1万円札に執念の炎を燃やす。コンピュータ社会の裏をつき、偽札造りに立ち向かう男たちの友情と闘いを、ユーモアあふれる筆緻で描いた傑作長編。予想もできない結末に思わず息をのむ!!(引用終わり)

5月14日 ジョグ10キロ
5月15日 ジョグ10キロ

和紙の原料ミツマタの栽培から始まる製紙工程、そして裏表16枚の原版を用いた印刷工程と、本物の紙幣の製造過程をなぞった偽札作りのノウハウは詳細を極め、丹念な取材の跡が窺える。ややマニアックに過ぎると感じられる箇所もあったが、ここまで書いて大丈夫なのかと心配になるぐらいだった。(笑)

登場人物も、印刷会社社長の娘・幸緒、その従業員「じじい」こと水田鉱一、彼の昔の仕事仲間の光井、敵役のやくざの江波など、魅力的な人物たちが物語を彩っている。ラストの意外な結末には感心させられたが、「エピローグ」の楽屋落ちのような話は、冒頭に「蛇足ながら」と書いてあるとおりだった。

|

« さらばチェリー | トップページ | 30年ぶりの登場 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『奪取』:

« さらばチェリー | トップページ | 30年ぶりの登場 »