『シューマンの指』
奥泉光著。この作家は初めて。鍵盤に血痕というカバーにドキッとして、図書館の係員に思わず「血ィ、ついてるで!」と言いそうになった。版元の紹介文。
高校3年の春、彼の前に現れた天才美少年ピアニスト。その白く艶めかしい指が奏でたのは、≪殺人の序曲≫だった――。甘美なる調べ。衝撃の結末。生誕200周年・シューマンに捧げる、本格音楽ミステリ
シューマンの音楽は、甘美で、鮮烈で、豊かで、そして、血なまぐさい――
シューマンに憑かれた天才美少年ピアニスト、永嶺修人。彼に焦がれる音大受験生の「私」。卒業式の夜、彼らが通う高校で女子生徒が殺害された。現場に居合わせた修人はその後、指にピアニストとして致命的な怪我を負い、事件は未解決のまま30年の年月が流れる。そんなある日「私」の元に修人が外国でシューマンを弾いていたという「ありえない」噂が伝わる。修人の指に、いったいなにが起きたのか。(引用終わり)
4月12日 ジョグ10キロ
4月13日 ジョグ10キロ
終盤までほとんどシューマンの作品論、音楽論が続き、その途中でエピソードのように描かれていた殺人事件を含めた全体の真相が、ラスト数十頁で明かされるという異色の作品である。
ミステリーものとしては、どんでん返しが二度三度と続いて読者を翻弄するが、最後のそれには「それはないだろう」と、道尾秀介の『向日葵の咲かない夏』同様の作為性を感じてしまった。しかし、音楽ものとしては随分面白く読めた。
永嶺修人(この名前がくせものだ)一世一代の名演となった「幻想曲」ハ長調作品17を聞きたくて、CDを注文してしまった。(笑)
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