『ビフォア・ラン』
主人公は高校陸上部の長距離走者という設定で、陸上ものかと思って読み始めたが、それは勘違いだった。高校を卒業して東京の大学に進学することになった主人公の、「本当に走り始めるのはこれからだ」という思いをタイトルに託したものだ。
主人公の優、同級生のまゆみ、そして幼なじみの紀子の3人が作り出す、虚実ない交ぜになった人間関係を軸に、運動部仲間の友人たちが加わって描き出される青春ドラマは、「かっこ悪」く、またどこかほろ苦い。
こういうテイストがこの作家の原点だったとは、少し意外な感じもした。
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