『張込み』
ちょっと前にNHKのラジオ文芸館で「一年半待て」が紹介されていて、その見事なストーリー展開に感心させられたので、珍しく文庫本を購入して読んでみた。
8篇中ではやはりこの「一年半待て」がベスト。さらに「声」と「地方紙を買う女」が、本格的な推理ものとして傑作の部類に入ると思う。ただ、設定の不自然さが気になる作品もあり、「投影」のトリックには思わず、「そこは間違えへんやろ」とツッコミを入れてしまった。
そういう瑕疵はあるものの、短篇ながら人間の欲望と暗い情念が丹念に描かれていて、さすがに松本清張と唸らせた。
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