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2010/08/28

『ラットマン』

9784334925932_3道尾秀介もこれで4冊目になった。最近文庫化されて新聞広告でも大きく宣伝されている。版元紹介文。

姫川はアマチュアバンドのギタリストだ。高校時代に同級生3人とともに結成、デビューを目指すでもなく、解散するでもなく、細々と続けて14年になり、メンバーのほとんどは30歳を超え、姫川の恋人・ひかりが叩いていたドラムだけが、彼女の妹・桂に交代した。そこには僅かな軋みが存在していた。姫川は父と姉を幼い頃に亡くしており、二人が亡くなったときの奇妙な経緯は、心に暗い影を落としていた。
ある冬の日曜日、練習中にスタジオで起こった事件が、姫川の過去の記憶を呼び覚ます。――事件が解決したとき、彼らの前にはどんな風景が待っているのか。
新鋭作家の新たなる代表作。(引用終わり)

8月27日 ジョグ10キロ
8月28日 ジョグ10キロ

タイトルの「ラットマン」とは、見方によってネズミにも男の顔にも見える絵のことで、動物の絵と並べて見せられると前者と、人の顔と並べて見せられると後者と、それぞれ思い込んでしまう。心理学で「文脈効果」と呼ばれているもので、前後の刺激が知覚の結果を変化させてしまう現象を言うのだそうだ。

小説の最初の方で出てくるこの話が、練習中のスタジオで起きた今回の事件と、23年前の姫川家に起きた悲劇の、それぞれの隠された真相を解き明かす鍵として最後に生きてくる構成は見事である。

主人公の小学生時代の記憶、二転三転する事件の真相、綿密に張り巡らされた伏線といった、この作家の得意技が巧妙により合わさって、最後は家族の悲劇からの立ち直りを示唆するところで終わっている。この作家の代表作とされるのも頷けるところだ。

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