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2010/07/31

『黒い家』

199999873056_2貴志祐介著。この作家は初めて。昭和34年大阪市生まれということで親近感を感じた。アマゾンの紹介文。

若槻慎二は、生命保険会社の京都支社で保険金の支払い査定に忙殺されていた。ある日、顧客の家に呼び出され、期せずして子供の首吊り死体の第一発見者になってしまう。ほどなく死亡保険金が請求されるが、顧客の不審な態度から他殺を確信していた若槻は、独自調査に乗り出す。信じられない悪夢が待ち受けていることも知らずに…。恐怖の連続、桁外れのサスペンス。読者を未だ曾てない戦慄の境地へと導く衝撃のノンストップ長編。第4回日本ホラー小説大賞大賞受賞作。(引用終わり)

7月30日 ジョグ10キロ
7月31日 ジョグ10キロ/完全休肝
月間走行 326キロ

とにかくコワい。周囲の人間が次々と犠牲になり、次第に追い詰められていく主人公の心理状態がリアルに描かれている。一難去ってまた一難のオーソドックスな仕掛けなのは分かっていて、それでも頁を繰る指が震える思いであった。夏場に読んで正解だった。(苦笑)

ところで、98年7月に起きた和歌山毒物カレー事件の被告は元保険外交員で、事件以前にも何件もの保険金詐欺を働いていた。97年6月に出版された本書はそれを予言していたかのように思えてならない。元保険会社社員だった著者は仕事を通じて、拝金主義の蔓延やモラルリスクの顕在化といった社会の病理を痛感していたに違いない。

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